少子高齢化で需要も供給も減少

河野 龍太郎
BNPパリバ証券
経済調査本部長
チーフエコノミスト
河野 龍太郎

グローバルインフレは構造的という見方が少なくない。最右翼の一人は英国中央銀行の政策委員だったチャールズ・グッドハート氏だ。同氏の「人口大転換」は、原書が2020年に出版され、30年間におよぶディスインフレ時代の終焉(しゅうえん)とグローバルインフレの到来を見事に予測した一冊として注目された。

2022年夏、日本で訳書が出版された。ポイントは以下の通り。①30年間の世界的ディスインフレの原因は、金融政策の成功ではなく、中国で生産年齢人口が増え続け、労働供給が増大した偶然の賜物、②今後、少子高齢化によって先進国だけでなく、中国でも労働力が減り、人手不足から世界的に賃金インフレが進む、③生産年齢人口の減少がインフレをもたらすという主張と相反するのが日本の経験──日本では1990年代末以降、労働力減少でインフレが到来するはずだったが、中国発のデフレ圧力が相殺した。しかし、今後中国発のインフレ圧力が広がる。

違和感を持つのは筆者だけではないだろう。過去30年間の「大いなる安定」が金融政策の成功の結果ではないというのは同意する。しかし、少子高齢化による生産年齢人口の減少はインフレ要因か。むしろデフレ要因として作用するのではないか。

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