短期金利差は拡大の可能性

佐々木 融
JPモルガン・チェース銀行
市場調査本部長
佐々木 融

BIS(国際決済銀行)/日銀が公表している円の実質実効レートは、2022年7月時点で1971年8月以来の水準まで低下している。8月から9月上旬にかけてさらに円安が進んでおり、現状の円の水準は、同時期のニクソン・ショック(米ドルと金の兌換(だかん)一時停止)以来の円安ということになり、実質的に1ドルが360円だった時代と同じ程度の円安水準となったと言えそうだ。ドル/円相場は均衡レートと考えられる90円台から50円も円安方向に乖離してしまっている。

過去20年間で、今回を除くと、大きな円安局面は2回あった。1回目は2005~2007年、2回目は2012~2015年だ。為替相場の動きには様々な要因が影響するため一概には言えないが、1回目の円安の要因は日本とその他主要国の短期金利差拡大による円キャリー・トレードの活発化、2回目の円安の要因は日本の貿易赤字急増だった。しかし、今回はこの2つの要因が同時に発生している。また、今後を見通しても、短期金利差は一層拡大し、貿易赤字もさらに増加する可能性がある。

世界の政策金利の加重平均値は2022年9月末で3.0%を超える可能性が高い。これは2005~2007年に円キャリー・トレードが活発化した時以来の水準である。為替市場でのキャリー・トレードには長期金利差ではなく、短期金利差が重要だ。日本の個人投資家が証拠金取引を通じた円売りを活発化させたのもこの頃だ。既に円は歴史的な円安水準だが、これから約15年ぶりに再び円キャリー・トレードが復活するお膳立てが整いつつある。

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