会員限定
聞き書き「年金運用30年」 【第5話】「代行返上」発、「年金改革」行き〜生き字引・田中敬久のよもやま話〜
富士通と米運用会社ニューバーガー・バーマンで通算30年。一貫して年金運用の現場に立ち続けた田中敬久さんの聞き書き。今回は、2000年代初めに日本の企業年金を揺るがせた「代行返上」という大波にフォーカスを当てます。「国から年金資産を企業が預かり、代わりに運用する」という今から振り返ると面妖な仕組みをすったもんだの挙げ句に解消。しかし、その後に企業年金の抜本改革という大仕事が待ち構えていました。

【代行返上とは】
厚生年金基金は、国の厚生年金の報酬比例部分を国に代わって企業側が支給する「代行部分」と、独自に上乗せして給付する「プラスアルファ部分」を合わせて運営・給付していた。運用環境が良い時代には予定利率を上回る運用実績があり、その差分が企業側の「収入」となった。しかし1990年代後半からの低金利による運用環境の悪化で、多くの基金の運用実績は「逆ざや」となった。また国際会計基準の導入で代行部分が企業の債務とみなされるようになり、経済界の強い要望で2000年代初め、代行部分の国への返上が認められた。
代行返上、企業は「身勝手」
私のように数年前に企業年金基金に着任したような世代にとっては、「代行返上」は言葉と意味は分かるけど、実態はピンとこない歴史辞典の1項目のような感じです。
田中 まあ、そうでしょう。「すったもんだ」のあれこれは後で詳しくお話しするとして、代行返上がテーマに遡上したときは、「企業って身勝手だなあ」と思いました。
身勝手? どういうことですか。
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。
















