為替の強みをGCMに生かす

海外に幅広い支店網を持つ外資系銀行は、カバーする地域や通貨の豊富さが特徴だ。ドイツ銀行のグローバル・キャッシュ・マネジメント・システム「db-direct internetc」は、世界で数万社による利用実績がある。

「日系企業のGCMのニーズはプーリングが中心だが、欧米企業はそこから一歩進んで、送金や入金など決済の効率化を進めている。欧米のグローバル企業は『シェアードサービスセンター』や『ペイメントファクトリー』を設置して、グループ内部の業務や決済の一元化を図っており、銀行のGCMにはこうした動きを金融面で支えるための対応が求められている。貿易に基づくサプライチェーンファイナンスなど、より高度な資金の一体管理を求めるケースも増えている。日本でも大企業の一部でこうしたニーズが出てきている」と指摘するのは、トランザクションバンキング部のキャッシュマネージメントグループ・グループ長、長谷川真琴氏。

ドイツ銀行のGCMの特徴は、グローバルで共通のシステムを使えること。規制の変化にいち早く対応するため、世界各国で規制当局との関係を密にしているのも特徴だ。さらに、ドイツ銀行グループが最も得意とする為替においては、約130種類の通貨を扱っており、システム上で送金や決済を行える。

信託・エージェント業務を絡めたサービスも同行ならでは。ドイツ銀行のグローバル・トランザクション・バンキング統括部長に就任したピーター・マシオン氏は「在日外銀で信託業務を扱うところは少ない。信託のほかにも投資銀行部門とも連携して、M&Aなどに必要な資金をタイムリーに融通するためのさまざまな仕組みを持っている」と説明する。

今後の海外展開にも即応できる

「GCMには財務効率の向上だけでなく、ガバナンスの強化や不正の抑止という効果も期待できる」と語るのは、シティバンク銀行のトランザクション・サービス部門、トレード・アンド・トレード・ソリューションズ本部長の副島弘行氏だ。

「シティバンクはプーリング、ネッティングから支払業務の集約まで安価で提供でき、それぞれの地域で現地のスタッフが当局からの許可取得も含めてきめ細かくサポートする」(副島氏)

ラテンアメリカ地域やアフリカ諸国に強いのも特徴。さまざまな国の決済制度に加盟しており規制が強い国の決済情報にも精通している。同行のシステムがカバーする国は100カ国に及び、利用者は共通のユーザーインターフェイスで資金管理を行うことができる。

「グローバルな競争が加速し、国境を越えたサプライチェーンやM&Aも増えていくなかで、顧客の既存の海外拠点網だけでなく今後の海外展開にも即応できるGCMのシステムインフラを導入しておくことが肝要。特に途上国では独特の決済慣行や規制などのため、思わぬ障害にぶつかることもある。豊富な知識と経験に基づいたシティのソリューションを導入することにより、財務部門の業務負荷の軽減や規制への対応、ガバナンスの強化といった点でも確かなメリットを感じていただけるはずだ」と副島氏は語る。