グローバルレベルの感染拡大によって社会や経済に大きな変化をもたらした新型コロナウイルス。その影響は運用の世界にもおよんでいる。ESG(環境・社会・企業統治)や低流動性資産への投資といった運用戦略の評価はビフォーコロナとどう変わったのか。資産運用の高度化が求められる中、アフターコロナの各資産の運用戦略を検証する。

過剰流動性供給でミニバブル発生。今後の運用環境を占う3つのキーワード

木口 愛友氏
西日本機械金属企業年金基金
運用執行理事
木口 愛友(よしすけ)

2020年8月、異例のオンライン開催となったジャクソンホール会議で、ジェローム・パウエルFRB(連邦準備理事会)議長は「パンデミックによる経済不況を前に、歴史的に長期継続した経済拡大期は終焉を迎えようとしている」と発言した。世界中でパニックを引き起こした新型コロナウイルス感染拡大を転機に、経済全体にシビアな“新常態” の足音が近づいている。だが一方で、同月ごろから日経平均株価が同年2月の急落前の水準を回復するなど、金融市場には明るいニュースが飛び交っている。さらに米国ではナスダック総合株価指数が過去最高値を更新するなど、IT関連業界を中心に市場が過熱している様子がうかがえる。こうした状況について、「過剰流動性の供給が金融市場にミニバブルを生んでいる」と警鐘を鳴らすのは、西日本機械金属企業年金基金 運用執行理事の木口愛友氏だ。

古典的な景気サイクルで考えれば、各国が感染拡大の影響で冷え込む経済を下支えしようと金融緩和や財政出動によって支援を行っている現在の位置は金融相場に当たるため、ある程度の金融市場の持ち直しは納得できる(図表1)。だが、それでも現在の相場を「上げすぎ感が強い」と展望する向きもある。木口氏によれば、歴史的な市場ショックと比較した時、今回のコロナ危機で際立っているのが市場下落局面の短さだという。感染拡大によって経済活動が停止する恐怖感から、わずか1カ月ばかりの間で株価が急落した。すると各国が史上最大規模の金融・財政対策を緊急発動し、世界的なカネ余りが発生した。この結果、「業績悪化が顕在化する可能性が色濃く見えるにも関わらず、株価は上昇する」ような実体経済と乖離(かいり)したミニバブル相場が発生したのだ。

図表1 景気サイクルと各国中銀のポジション

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