中東情勢、AI(人工知能)の脅威、そして金利・インフレ環境の転換。機関投資家を取り巻くマクロ環境が大きく揺れるなかで、リアルアセットに求められる役割もまた変わりつつある。運用会社、運用コンサルタント、年金基金の専門家にリアルアセット多様化時代の行き先を聞いた。
インフラと不動産を中心に投資対象資産は多岐にわたる

常務理事
遠藤 健一氏
インフラ、不動産、航空機ファイナンス、農地、森林……。ひと口にリアルアセットと言ってもその投資対象は多岐にわたる。
市場規模で眺めれば、その大部分を占めるのはインフラと不動産だ。前者のインフラは、電力・ガス・水道などの公益事業、有料道路や空港、データセンター、再生可能エネルギー発電施設など、社会経済活動の基盤を成す資産を指す。需要の景気感応度が低いこと、料金が規制や長期契約で守られていること、インフレ連動の収益構造を持つ案件が多いことなどから、長期にわたって安定的なキャッシュフローを生み出す。
後者の不動産は、オフィス、賃貸住宅、商業施設、物流施設、ホテルといった収益物件への投資を指す。賃料収入によるインカムゲインと資産価値上昇によるキャピタルゲインの双方が期待でき、投資手法も実物保有から私募・上場REIT(不動産投資信託)、不動産私募ファンドまで幅広い。リアルアセットのなかでも組成される案件数が多く、地域・セクター・戦略の選択肢が豊富である点も、機関投資家がポートフォリオを構築しやすい要因の一つだ。インフレ局面では賃料改定を通じて収益上昇が期待できる一方、金利の影響を受けやすく、市況サイクルの存在も無視できない。
金利の上下に左右されにくい安定的なパフォーマンス

日本代表
柏樹 康生氏
日立ハイテク企業年金基金 常務理事の遠藤健一氏は、両者に投資してきた立場から「インフラは金利の影響をあまり受けず、安定的なパフォーマンスを維持してきた印象がある」と振り返る。
こうしたインフラのコンスタントなパフォーマンスを下支えしているものは何か。運用会社のアポロ・グローバル・マネジメント 日本代表の柏樹康生氏は、足元の世界が「重要インフラと不可欠なサービスにおける100年に一度の変革期」を迎えていると位置づけ、これを「グローバル産業ルネサンス」と総称する。
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