豊富な研究資金を確保する海外大学との競争や少子化にともなう財源確保のため、大学にとって資金運用は中長期の財政基盤を支える重要なテーマとなっている。大学基金の運用担当者や有識者の声を通じ、学校法人の資金運用戦略と今後の展望について概観する連載「大学基金の運用戦略」。今回は、2026年4月に京都大学 CIO/最高投資責任者に就任した喜多幸之助氏に話を聞いた。
学内に知見を蓄積すべく、伝統資産の特化型戦略の採用へ

CIO/最高投資責任者
喜多 幸之助氏
大学経営のなかで、資金運用はどのような位置づけにあるか。
京都大学の使命は、新しい知的価値の創生と、それを担っていく人材育成を通じて公共の利益に資することだ。125年以上にわたり、政治から離れた京都という地で「自由の学風」を重んじながら教育と研究の歴史を刻んできた。
資金運用に関しては、2018年度の国立大学法人法改正を契機に、国立大学として最も早期にリスク性資産の運用を開始した。現在は、2025年12月に国際卓越研究大学の認定候補に選定されたことを受け、学内改革を進めており、財務経営戦略として「25年後までに1.2兆円規模の基金を造成する」ことを明確に打ち出している。
財政的自立を目指すなかで資金運用体制をより強化するべく、2025年10月に資金運用室を設置し、2026年4月から私がCIO(最高投資責任者)に着任した。個人的には、京都大学出身者として、母校にこのようなかたちで貢献できるのは望外の喜びである。
現在の運用資産残高と、その内訳は。
2026年3月末時点での総資金は約1,000億円で、そのうち約35%は日々のキャッシュフローを管理するため定期預金などに置く資金、残りの約65%は1年以上の長期運用が可能な資金として位置付けている。
後者の長期運用に充てている655.5億円については、①債券などに投資し利息収入を獲得する自家運用、②リスク性資産に投資し、高いリターンを追求する金銭信託──の2つの方法で運用している。
まず、①の自家運用では国内債券、ユーロ円債などを406億円ほど運用している。毎年度安定的にインカム収入を得て、目下の教育研究・大学運営に活用していく目的だ。満期保有を原則としているが、格付けが大幅に低下した場合には売却も含めて見直す方針だ。

次に、②のリスク性資産として運用しているのは249.5億円で、現在はマルチアセット運用会社に一任するかたちを採っている。マルチアセット戦略はターゲットリスク型であり、ボラティリティが高まった局面で下方リスクを抑える戦略だ。
マルチアセット戦略の中身はおおむね図表2の通りだ。2025年度に資産構成割合を変更し、それまで国内不動産のみだったオルタナティブ資産に、グローバルPE(プライベートエクイティ)を20億円追加したことで、マルチアセット戦略のなかでのオルタナティブ比率は約40%となった。PEは、ファンド規模が大きく分散効果が高いことからオープンエンド型のファンド・オブ・ファンズを採用した。
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