イラン情勢の緊迫化により調整局面を迎えつつも、日経平均株価は依然として5万円台という歴史的水準を維持している。今後の日本株市場の動向と見通しについて、東海東京インテリジェンス・ラボの澤田遼太郎氏に聞いた(※記事内容は2026年3月19日時点)。
イラン情勢は、遅くとも2カ月程度で収束か

投資戦略部 日本株投資調査グループ
シニアアナリスト
澤田 遼太郎氏
2026年2月28日に米国とイスラエルがイランを攻撃したことを契機に、世界の金融市場にはリスクオフムードが漂っている。しかし、足元のイラン情勢について「長期化する可能性は低い」と、東海東京インテリジェンス・ラボ 投資戦略部 日本株投資調査グループ シニアアナリストの澤田遼太郎氏は述べる。
「現在行われている米国のイランへの攻撃は、法律上『戦争』ではなく『軍事行動』として扱われている。米国の戦争権限法では、大統領の権限による軍事行動は原則60日以内と定められており、それを超えて継続する場合には議会の承認が必要となる。さらに、秋の中間選挙を控えるなか、野党の攻撃材料になりかねない軍事行動の延長に対して、議会がこぞって賛成するとは考えにくい。米軍が圧倒的な制空権を掌握していることも踏まえれば、遅くとも2カ月程度で事態は収束に向かうのではないか」(澤田氏)。
日本経済の「デフレ脱却期待」は、自民党の大勝時期と重なる
地政学リスクの一巡を前提にしたとき、今後の日本株の上昇ドライバーとなるのが「デフレからの脱却期待」だ。澤田氏によると、過去の日本経済の変革期待がほぼ10年おきに高まり、それに伴って日本株が大幅な上昇局面を迎えてきた(図表1)。

例えば、2005年の小泉純一郎政権下では「聖域なき構造改革」への期待から日経平均株価は1年間で40%上昇した。2013年の安倍晋三政権下では「アベノミクス」の追い風を受け、57%もの急騰を見せている。そして2022年以降は、新型コロナウイルス禍後の供給制約や円安など背景にインフレ基調が続いている。今回の日本株の株高は「3度目の正直」とも言える上昇局面にあたる。
これら3つの時期に共通する最大の要素が「極めて安定した政権基盤」だ。2005年の「郵政解散選挙」で自民党は296議席を獲得。2012年末の「政権奪還選挙」でも294議席を得て大勝した。そして2026年2月の衆院選において、自民党は過去2回を上回る316議席を確保した。
「これだけ安定した政権基盤があれば、政策の一貫性が担保され、予算や法案が通りやすくなるうえ、企業や投資家にとっても先行きが読みやすくなる。欧米主要国で政治の分断や政権支持率の低下が目立つなか、日本の安定した政治基盤と高市政権の『責任ある積極財政』への期待が、株高につながっていると考える」(澤田氏)。
PERや次期の利益予想から算出する「日経平均株価7万円」
こうしたマクロ環境を背景に、澤田氏は「2026年内に日経平均株価が7万円に到達する可能性がある」と予想する。
この「7万円」は、2025年末の日経平均株価5万339円に、2005年の上昇相場で見られた40%の上昇を当てはめるとはじき出される数字だが、“約10年おきのデフレ脱却期待”の経験則が、今回も当てはまるとは限らない。
そこで、データを用いて同氏が考えたのが以下の試算だ。まず、株価のバリュエーションを測るPER(株価収益率)に着目すると、日経平均株価が大きく上昇した直後の2006年1月は23倍程度に達していた。これに対して2026年2月末時点のPERは約21倍にとどまっており、企業の利益成長を考慮すれば現在の水準に過熱感はないと言える。
次に、株価を下支えする企業の「稼ぐ力」を確認する。QUICKコンセンサスによれば、東証プライム上場企業の2027年3月期の当期利益は約14%の増益が予想されている。
2026年2月末時点の日経平均株価(5万8,057円)をベースに、来期の利益成長(約14%)と、過去の上昇局面と同等のPER増加率を掛け合わせて試算すると、日経平均株価は7万4,600円台に到達する計算になるのだ(図表2)。

この株価上昇シナリオの持続性を左右する重要なポイントが、「賃金と物価の好循環」がどれだけ持続するかである。足元では2026年1月の実質賃金が13カ月ぶりに前年同月比でプラス(1.4%増)に転じ、ターニングポイントを迎えている。
「原油高などで押される場面はあるにせよ、実質賃金のプラスが安定して定着していけば、日本株の上昇トレンドは継続するだろう」(澤田氏)。
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