米国銀行の急激な預金流出と3つの逆風

2023年3月には米国で中堅銀行の破綻が相次ぐ一方、欧州では経営不振に陥ったスイスの金融大手のクレディ・スイス銀行がライバルのUBSに買収されるなど、世界規模で銀行不安が一気に高まった。

現在では、事態は落ち着きを取り戻しつつあるが、危機はまだ去ってはいないのではないか。欧米ともに経済は比較的安定を維持しているが、これから経済が悪化していけば、米国では中小銀行の不安とファンド危機による金融市場の混乱とが複合された銀行不安の第2ラウンドが生じる可能性も考えられる。

3月に米国で高まった銀行不安を振り返ると、銀行が破綻した週に中小銀行全体の預金流出額は約1960億ドル(約26兆円)と、歴史的な規模にまで達した。過去の様々なイベントの際と比べても、今回の預金の流出額は格段に大きく、一時は銀行危機と呼べる状況にあったと言えるのではないかと思われる(図表1)。

【図表1】過去の米国中小銀行の預金流出規模
日時 イベント 流出額(億ドル) 預金残高比
1985年4月3日 S&L危機 -365.4 -10.1%
1987年10月7日 ブラックマンデー前夜 -19.5 -0.5%
2000年3月22日 ドットコムバブル崩壊 -40.6 -0.4%
2007年3月14日 米不動産市況下落 -544.8 -3.1%
2008年9月10日 リーマンショック前夜 -41.3 -0.2%
2020年7月29日 コロナショック後 -199.5 -0.4%
2023年3月15日 米銀破綻 -1,963.2 -3.5%

※日時はその日付で終わる1週間
出所:FRB、野村総合研究所

米銀からの預金流出は3週間続いた。1週目は中小銀行から大手銀行に預金がシフトしたが、2週目、3週目には、大手銀行からも預金が流出した(図表2)。

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