債券投資の損失と逆イールドによる収益悪化

SVB(シリコンバレーバンク)の破綻をきっかけに米国で銀行不安が一気に高まるに至った背景には、銀行を取り巻く金融環境の大きな変化があった。

歴史的な物価高騰への対応として、FRB(米連邦準備理事会)は2022年3月以降、急速な利上げ(政策金利引き上げ)を行ってきた。また、短期金利(政策金利)の先行きの大幅上昇を予想して、10年財務省証券金利は2022年初の1.4%台から同年10月には4.2%台まで急上昇したのである。

その結果、銀行が保有する国債、政府機関債などの債券に大きな含み損が発生してしまった。そうした債券を売却すれば実現損となり、含み損を抱えたままでも大手行では規制上の自己資本が毀損される、などの財務上の問題が発生したのである。この局面を【第1ステージ】としよう。

やがて短期金利の急速な引き上げによって、長短金利差は縮小し、さらに長短金利が逆転する逆イールドが生じる。短期で資金を調達し、貸出や長期債への投資など長期で運用するビジネスモデルの銀行にとって、逆イールドは利鞘を縮小させ、資金収益を悪化させる。【第1ステージ】から銀行の財務環境が一段と厳しさを増すのが、この【第2ステージ】である。現在は、この【第2ステージ】にあると考えられる(図表)。

【図表】米国長短金利のサイクルと銀行財務環境の変化のイメージ図
米国長短金利のサイクルと銀行財務環境の変化のイメージ図
出所:野村総合研究所

過去においても、FRBが金融引き締めを行う局面では、常に長短金利差の縮小、あるいは逆イールドは発生してきた。しかし今回は、SVB破綻の直前には、2年と10年の金利差は1980年代初頭以来のマイナス幅にまで達していた。

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