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【第1回】データだけではなく、マーケットドリブンのルール作りを
【第2回】接近し合うクォンツ運用とジャッジメンタル運用の整理と融合

クォンツは理”功”力?

第3回は標題の観点からクォンツ運用をおもふ。前回の最後にクォンツは高度な数学・物理などの理工系アプローチで相場に対峙することが多いと述べた。そこで、本稿の目的は「クォンツアプローチ」の拠り所である「理工の力(理工力)」について理解を深める一助となることである。

「理工力」は、「道理を持って(理)」、「努力することではじめて成功(良好なパフォーマンスを継続的に)を収めることができる(功)」というクォンツの生き様として表現することもできる。

「一見すると合理的」な選択肢を裏切る

クォンツは人間の直感的誤謬(ごびゅう)を補正あるいは正してくれることがある。本稿では「ペアトレーディング」を例に挙げて説明しよう。

ペアトレーディングとは、長期的にはある水準に収束する異なる2つの危険資産の価格差を利用した取引である(※1)。異なる2つの危険資産は個別株でもよいし金利(Rates・Credit)でもよく、当該戦略はアセットクラスを選ばない。

両者の価格の値動きに大きな乖離が生じた際、上昇した資産を売り(空売り)、出遅れた資産を買いとしてポジションを構築し、両者の乖離が解消されたタイミングでポジションを閉じることで、市場全体の変動の影響を受けず収益を上げる投資戦略である。

ペアトレーディング戦略は「ロングショート戦略」の具体的戦術の一つであるとも言える。図1は当該戦略のイメージ図である。

【図表1】ペアトレーディング(イメージ図)
ペアトレーディング(イメージ図)
出所:auアセットマネジメント作成

ここで図2に記したような投資ホライズンが同一である2つのケースを考えてみよう。ただし、ケース1・ケース2のいずれの組もペアトレーディングが奏功する組であることが統計的に分かっているものとする。

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