世界的な財政拡張、AI(人工知能)関連の社債供給増、そしてプライベートクレジット市場の膨張──。2026年の債券市場を取り巻く構造は大きく変わりつつある。パブリック債券に特化したアクティブ運用で知られるMFSインベストメント・マネジメントの債券運用部門インスティテューショナル・ポートフォリオ・マネジャーのオーウェン・マーフィン氏に、現在の市場フェーズとこれから投資家が向き合うべき論点を聞いた。

MFSインベストメント・マネジメント オーウェン・マーフィン氏
MFSインベストメント・マネジメント
債券運用部門インスティテューショナル・ポートフォリオ・マネジャー
オーウェン・マーフィン

「金利正常化の一時停止」局面にある債券市場

2026年の債券市場は、どのような状況にあると見ているか。

マーフィン 国債と社債などのクレジットでは、判断を分けるべき局面だ。国債利回りは過去と比較して魅力的な水準にあり、割安に見える。一方、クレジット商品は、中東情勢など地政学リスクが残るにもかかわらずスプレッドがあまり広がっていない。地政学リスクを踏まえれば、クレジット・スプレッドはむしろタイトすぎる水準にある。

もっとも、2026年3月のイラン情勢を受けた債券市場の反応は限定的だった。グローバル債券は同月にわずかにマイナスのリターンとなったが、劇的な下落には至っていない。市場が今回のイラン情勢と2022年のウクライナ侵攻を区別してとらえていることは、正しい判断だと考える。

ただし、リターンには国ごとに大きなばらつきが出た。3月には英国、韓国、カナダといった一部の市場で、利下げ期待の後退にとどまらず、利上げまで織り込む動きが見られた。だがこれらの国の経済はなお弱く、現在の金利水準を維持・吸収できる状況ではない。市場の織り込みは行き過ぎであり、これらの市場ではむしろデュレーションを長く取る余地が広がっている。

整理すれば、今債券全体を避ける局面ではないと見ている。国債利回りは魅力的で、金利低下に備えてデュレーションを長めに取る価値がある。対して、社債などのクレジット商品はリスクに対する見返りが十分とは言えず、質の高い銘柄に絞るべき局面だ。

米国市場では利下げ期待が大きく後退しているが。

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