「GXリーグ基本構想」ならびに「GX実現に向けた基本方針」に沿うかたちで、2023年10月、東京証券取引所はカーボン・クレジット市場を正式に開設した。市場開設後の売買状況や今後の展望・課題を担当者に聞いた。

  • クレジットの種類ごとに約定値段が異なる
  • 売り手となるクレジット創出者の確保が課題
  • 投資先企業の脱炭素活動を評価する上で市場価格が参考になりうる
東京証券取引所 カーボン・クレジット市場整備室の川久保佐記課長(写真左)と森勇貴調査役(写真右)
<講師>
東京証券取引所
カーボン・クレジット市場整備室
川久保 佐記課長(写真左)
森 勇貴調査役(写真右)

「省エネ」と「再エネ(電力)」に多くの取引が集中

東京証券取引所(以下、東証)は2023年10月11日、温室効果ガス排出量を取引するカーボン・クレジット市場を開設した。2050 年までのカーボンニュートラル達成という大目標の下、2022年2月の経済産業省の「GXリーグ基本構想」ならびに2023年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」において、同市場の創設が盛り込まれたことが背景にある。

カーボン・クレジットは、温室効果ガスの削減効果をクレジット(排出量)として認証する制度だ。炭素に価格が付くことで、クレジットの創出者はその販売で売却益を得られたり、購入者は自身で削減が困難な排出分をオフセット(相殺)したりできる。日本では2013年度に国内クレジット制度とJ-VER制度が統合して「J-クレジット」制度がスタートした。省エネ・再エネ設備を導入して削減できた温室効果ガス排出量や、森林管理による吸収量をクレジットとして国が認証している。

これまで、こうしたクレジットの取引は政府入札以外だと、クレジットの創出者と購入者の間で自由に条件を定める相対取引が一般的だった。しかし相対の場合、取引相手を探すところから、相手方の信用調査、条件の交渉などを経て契約締結に至るため、売買しようとしてからクレジットの移転完了までに1カ月程度かかるケースもみられた。新設された東証のカーボン・クレジット市場のように、取引所が売り手と買い手の間に入り取引が標準化されることで、必要な事務手続きが大幅に簡素化・短縮化できる。

さらに、相対取引では価格や売買高などの取引情報が公表されない。GXリーグでは企業の自主的な取り組みで脱炭素投資を促したい考えで、炭素価格の発信を重要視している。取引価格が開示されるようになれば、それが1つの指標となり、企業や投資家による脱炭素投資の予見性を高められるようにもなるだろう。

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