市場の振れ幅を前提に割安な資産を仕込む

ピクテ・ジャパン 投資戦略部 ストラテジスト 糸島 孝俊氏
ピクテ・ジャパン
投資戦略部 ストラテジスト
糸島 孝俊
運用経験通算21年。最優秀ファンド賞3回・優秀ファンド賞2回の受賞歴を誇る日本株式ファンドの運用経験を持つ。ピクテでは、ストラテジストとして得意とする国内株式を中心に主要国株式までカバー。

2024年の株式運用はどのような景気動向、外部性を前提とするかで機関投資家が取るべきポートフォリオ戦略が大きく変わってくるところが難しい。

まず重要となるのは金利動向。株式市場は、その背後にあるインフレの方向性や角度を予想しようと躍起になっている。とはいえ金利の見通しはFRBですら確固たる予想を持てないほど。投資戦略の前提となるメインシナリオを組み立てるのは非常に難しい。加えて金利上昇で債券投資の妙味が向上しており、中には債券投資で目標とするリターンの大半を稼げてしまう投資家も出てくるかもしれない。すると株式はアンダーウエートとなる動きも出てくるだろう。2024年の株式運用は、前提となる環境いかんで大きく左右される展開を覚悟しなければいけない。

また、もはや見て見ぬふりができないのが地政学的リスクの高まりだ。地政学的リスクが動き出せば世界のパワーバランスが変化し、投資の前提ががらっと変化する可能性があるからだ。足元では特にウクライナ危機の終結がどうなるかで、世界の勢力図が変化する可能性が高いとみている。そうなれば日本の機関投資家のポートフォリオにも大きな歪みが発生するはずだ。長期投資家であれば、「不測の事態」と放置せず対応を検討する必要があるだろう。

2024年はウクライナ危機だけでなく、イスラエル・ガザ情勢、そして台湾総裁選挙や米大統領選を通じた中台および米中関係に地政学的リスクがくすぶる。運用環境全体にリスクオフの気配が漂う中、金などの実物資産の投資妙味も向上しているが、実は株式投資も、国家間対立が激しくなれば内需企業にフォーカスした投資を、原油が上がればそうした局面に強い企業に投資を……というようにリスクに合わせて様々な選択肢が取れる資産クラスである。

ただし、日本の機関投資家はそうした機動的なポートフォリオ運用を行う時間やリソースを持たないだろう。そこで地政学的な不確実性へ対応するには、基本に立ち返って“意味のある分散”を心がけていくことが重要となる。これは、単に投資先分野やリスク源泉を分散するのではなく、市場が動くことをある程度想定して、既に割安だったり、マーケットが下がって割安となったりした資産クラスを、先手を打って仕込むといった余裕をもった分散投資を意味する。その選択肢として見逃せないのが日本株だ。

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