2023年7月11日、ステーションコンファレンス東京でJ-MONEYカンファレンス「プライベートアセット2.0 運用戦略の最前線と未来展望」が開催された。オルタナティブ資産の中でも特に多様性の高まりが目立つ「プライベートアセット」。今後その投資で注目すべき分野やアセットクラスは何か、投資する上での留意点はどこにあるかといった議論が交わされた。当日のプログラムから、「パネルディスカッション」の概要をお伝えする。

阿部 圭介氏
【コーディネーター】
J-MONEY 論説委員
朝日新聞企業年金基金・前常務理事
阿部 圭介
五藤 智也氏
【パネリスト】
マーサージャパン
ウェルス・コンサルティング本部代表
五藤 智也
荻原 勉氏
【パネリスト】
日本高速道路企業年金基金
常務理事・運用執行理事
荻原 勉

安定収益を求める投資家。PD、不動産、インフラが人気

阿部 運用コンサルタントの五藤さんは、国内の機関投資家のプライベートアセット(PA)投資をどう見るか。

五藤 魅力的なリターン水準よりも安定した収益性を求める思惑が、国内の機関投資家をPA投資に向かわせている。安定的なインカム収益が期待できるプライベートデット(PD)やインフラ・不動産といったアセットクラスが選好されている印象だ。特にPDは、高騰する為替ヘッジコストを、金利上昇で高まる変動金利で吸収できる点も、PD投資に追い風になっているのではないか。

阿部 日本高速道路企業年金基金の年金運用を担当する荻原さんから見て、PA投資の意義や目的は。

荻原 高速道路会社3社が主体となって構成されている当基金では、政策アセットミクスの20%を占める「絶対投資」という区分で、PA投資を行っている。長期の年金運用と親和性が高い上、3月31日時点の時価で見た資産残高も気にしなければいけない中で、市場のボラティリティを抑制する期待ができる点でも重宝している。

当基金では特に、プライベートエクイティと比べてクローズドになる期間が短いなどの点で、デット系PAを重視している。今後さらなる金利上昇も予想される環境に耐性がある上、仮に金利が下落する局面でも回収期間が短くなればメリットだろう。またPDは、「どこに貸し付けているのか」とのシンプルな構造で、投資内容やリスクについて把握しやすいのも良い。多様な収益源泉へのアクセスも広がりを見せており、セクターや融資先企業規模など分散投資の選択肢が多いことも利点だ(図表)。

【図表】プライベートデットの主な種類
プライベートデットの主な種類
出所:マーサージャパン

インカム収益メインゆえ十分な分散が焦点に

阿部 現在、デット系のPAはオルタナティブ投資の人気の中心に位置するようだ。特にPDファンドは数もたいへん多くなってきた。

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