今回は初めて京都の企業年金を訪問しました。電力会社向けの配電盤製造から創業して100年を越す老舗電機メーカー、日新電機グループ企業年金基金です。資産運用に関して明快な哲学をお持ちの竹中 正(たけなか・ただし)常務理事にお話を伺いました。

竹中 正さん
日新電機は創業以来の電力・環境システム事業がメインだが、半導体製造用のイオン注入装置なども手掛ける

日新電機グループ企業年金基金の概要

  • 所在地/京都市右京区梅津高畝町(うめづたかせちょう)
  • 設立年月/2004年1月(1966年に厚生企業年金設立。代行返上し、企業年金基金)
  • 資産総額/229億円
  • 加入者数/2840人 受給者数/968人
  • 予定利率/2.5%  期待運用収益率/2.7%
    (いずれも2023年3月末現在)

ヘッジファンド導入→急拡大→整理

竹中さんは2016年7月に日新電機グループ企業年金基金に着任しておられますが、基金との関わりはそれ以前からあるそうですね。

竹中 そうなんです。2003年に日新電機の経理部長になったのですが、その時点で基金の資産運用委員会のメンバーに就任しました。経理部長の業務の一環としてIR(投資家向け広報)活動があり、その時出会った運用会社のヘッジファンドが良さそうだということで当基金に紹介。2005年に株式ロングショートなど2戦略を採用しました。それが初めてのオルタナティブ資産の導入になったのです。

【図表1】は代行返上から直近までの当基金の資産構成比と収益率の推移をグラフ化したものです。ご覧いただければお分かりかと思いますが、ヘッジファンド導入以前は伝統4資産のみ、それも内外株だけで全体の7割以上を占めていました。リスク分散を目的に、2008年からはベンチャー投資などのプライベート資産も導入しましたが、ヘッジファンドの比率が次第に拡大。2016年3月には全体の5割近くに積み上がっていました。

【図表1】各資産の構成比と収益率の推移

各資産の構成比と収益率の推移

竹中さんは経理部長の後、調達部長、監査部長を歴任し年金資産運用から離れられたが、まさにこのタイミングの2016年7月に常務理事に着任された。

竹中 ええ。自分自身がヘッジファンド導入のきっかけを作ったわけですが、全体の半分ともなると、さすがに多すぎるのではないかと感じました。特に前年の2015年のチャイナ・ショックで、ヘッジファンドのパフォーマンスは大きく毀損しました。ヘッジファンドと言いながら、市場の急落に引っ張られた。これでは、肝心の「ヘッジ」機能が乏しいのではないかと痛感しました。こうした認識から、ヘッジファンドの整理に着手しました。

コンサルタントと議論し、アセットミックス見直し

常務理事に着任したばかりとは言っても、資産運用委員会のメンバーなどとしてコミットしてきた経験があるからこそですね。

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