日米実質金利が示唆するドル円相場下落の可能性
- 予想される1ドル=150円に向けた円安修正
- ドル円と日米実質短期金利差のギャップ解消
- 為替相場を市場に委ねる時代の終わりの始まり
- されど1ドル=200円に向けた円安基調は続く
予想される1ドル=150円に向けた円安修正

梅本 徹
図表が示しているように、2002年以降のドル円相場と日米の実質短期金利差の間には、パンデミック混乱期を除き緩やかな正の相関関係が観察できる。今般、日銀が引き締め的な金融政策に動くことで、2025年半ば以降に広がった両者のギャップが解消される可能性がある。筆者は、ドル円相場の150円に向けた短期的な円安修正を予想している。

ドル円と日米実質短期金利差のギャップ解消
今般の原油価格の上昇によって、主要国の中銀が一斉に利上げサイクル入りを果たしたことで、市場参加者の関心は短期金利に回帰するであろう。既にECB(欧州中央銀行)は、2026年6月11日に2年9カ月ぶりとなる利上げを決定した。翌週の16日には日銀が1%の利上げと国債購入減額停止を決める公算が高い。
また、翌17日にはFed(米連邦準備制度)による2年11カ月ぶりの利上げも排除できない(本稿発行までに既にこれらには結果が出ている可能性がある)。筆者は、日銀による大幅利上げと量的引き締めの開始によって、2025年半ば以降に広がったドル円相場と日米の実質短期金利差のギャップが解消されるとみている。
為替相場を市場に委ねる時代の終わりの始まり
円安修正には、米国政府の意思も働いているように思われる。グローバリゼーションの時代には、マーケットメカニズムが優先された。為替相場も例外ではなく、1995年の行き過ぎたドル安修正以降、米国政府は、ドル相場を基本的に市場に委ねる「ドル高・非介入政策」を最近まで継続してきた。
ところが、2017年以降、米中対立が表面化すると様相は激変する。現在、経済安全保障の名のもとに、主要国による関税の引き上げ、産業補助金の増額、半導体やレアアース等の輸出制限といったマーケットメカニズムを無視する政策が横行している。そのようななか、2026年1月に米財務省がニューヨーク連銀を通じて行ったレートチェックは、いよいよ為替相場にも市場に委ねる時代の終わりが始まったことを示唆していると考えることができよう。
将来的には「通貨切り下げ競争」の時代が再び到来する懸念もある。
されど1ドル=200円に向けた円安基調は続く
筆者の長期的な円安見通しに変わりはない。第一に、1990年代以降の実質ドル円相場の下落は、日米の実質成長率格差を反映したものである。第二に、国債発行額がGDPの二倍に達し、その約半分を日銀に保有させている日本国政府が、積極財政政策を行っているためである。第三に、米中対立の時代における日本の地政学的な脆弱性が無視できない。
これらの三大円安要因がなくならない限り、ドル円相場は中長期的に200円に向けて上昇を続けるであろう。











