J-MONEYカンファレンス「『超分散』時代へ突入したプライベートアセット投資」 【パネルディスカッション】透明性と収益性の両立目指す戦略とは? 超保守的運用から「絶対リターン」獲得へ転換〜丸紅連合、財務のプロが「説明責任伴う運用」
J-MONEYカンファレンス「『超分散』時代へ突入したプライベートアセット投資〜新たな投資機会へのアプローチと運用戦略を探る〜」が2025年4月11日、東京・日本橋のベルサール東京日本橋で開催された。当日のプログラムから「パネルディスカッション」の内容をダイジェストでお伝えする。

【パネリスト】
丸紅連合企業年金基金
常務理事
田中 裕之氏

【パネリスト】
ラッセル・インベストメント
オルタナティブアドバイザリー部
シニア・プライベート・マーケッツ・スペシャリスト
藤井 春登氏

【コーディネーター】
J-MONEY 論説委員
(朝日新聞企業年金基金・前常務理事)
阿部 圭介氏
阿部 まずお二人から簡単な自己紹介をお願いしたい。
田中 丸紅で入社以来財務部に所属し、2021年4月から今の仕事に携わっている。丸紅連合は丸紅関連の約60の事業所が加入しており、資産規模は200億円強。今回このパネルディスカッションに登壇させてもらったのは、今までこういったセミナーで皆さんに色々教わったことへの恩返しと思っている。おかげさまで政策アセットミックスを4年かけて再構築できた。その辺を多少披露できたらと考えている。
藤井 もともと保険会社の自己勘定部門で投資を行い、ラッセルには2020年に入社した。これまでの経験を生かして、企業年金や公的年金のお客様にアドバイスをさせていただいている。
阿部 それでは田中さんから丸紅連合企業年金基金の現状と、これまでの経緯について伺いたい。
田中 代行返上により年金資産が数十億円規模となり総幹事信託のパッケージ商品と、生保の一般勘定で運用してきたが、掛金が給付を上回っていることもあり資産は年々増加した。100億円を超えたころから資産運用委員会で政策アセットミックスの必要性を議論し始め、2020年3月末基準の財政再計算をもとに政策アセットミックスを策定した。国内外債券と一般勘定を75%、国内外株式を25%とし、株式・債券はいずれもパッシブ運用のみとしたが、過剰流動性相場ではそれなりにワークしていた。
私が着任以降はインフレが台頭し始めたこと、他の企業年金の多くが低流動資産を導入し始めるなど当基金の運用が必ずしも標準的な姿になっていないことなどを理由に、2022年秋の資産運用委員会で「次回財政再計算時に政策アセットミックスを『再構築』したい」と提言し了承された。
ヘッジ外債を削減しアクティブ戦略を導入
阿部 新しい政策アセットミックスを策定するまでの間は、どのような対応だったのか。
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。