読者アンケートに寄せられたり、編集部が取材する上で耳にしたりした年金運用のお悩みについて、年金運用コンサルタントとして活躍するニッセイ基礎研究所の徳島勝幸氏に尋ねます。

Q.金利が上昇しているなかで、国内債券投資にどのように取り組むのが良いでしょうか?

金利上昇はまだ続く可能性

足元の金利上昇は、直接的には物価が上昇しているためであり、また、過去に日本銀行がマイナス金利政策などで金利を低水準に押し込めてきた反動という側面も考えられます。金利は、中長期的に見ると「経済の成長率+物価上昇率」で近似できると考えられますので、物価の上昇が継続している状況では、金利上昇もある程度継続すると考えざるを得ません。

もちろん、金利が際限なく上がるとも考えがたいものです。年金基金や保険会社にとっては、負債から求められる必要な運用利回りを長期金利が上回る状況では、長期国債に投資するだけで運用を賄うことができることになります。しかし、全額を指標銘柄である10年長期国債に一度に投資することは非現実的ですし、長期国債と代表的な市場インデックスであるNOMURA-BPI総合とは特性が異なるため、必ずしも将来にわたってベンチマークと同じような動きになることはありません。つまり、必要な運用利回りと運用方針によって、「どのような資産ポートフォリオを構築するのか」の正解が変わってきます。

幸い、足元のNOMURA-BPI総合のデュレーションは、長期国債と比べて極端に大きくありません。時価構成比を見てもインデックスの8割以上を国債が占め、国債との連動性が高い政府保証債や地方債も含まれています。国債への投資のみで国内債券投資を代替することも十分に可能でしょう。

日本の債券市場には、社債などの一般債が十分には存在しないことが良く知られており、経済産業省の設置した「企業金融の高度化に向けた社債市場の在り方に関する研究会」が社債市場の活性化に向けた中間報告書を2026年4月に公表しています。同報告書では、年金資金が社債投資に向かうことの必要性が指摘されると同時に、「十分な利回りが得られないために投資が進まない」ことも言及されています。いわゆる“鶏が先か卵が先か”という状況ですが、国内債投資において国債+アルファ収益を安定的に得られる社債などの一般債への投資を積極的に進めることには意味があるでしょう。

債券投資では、投資した時点で将来の利息収入と償還時の元本回収が確定しています。発行体の破綻によって、予定されたキャッシュインフローが途絶える可能性もゼロではありませんが、基本的に社債などの一般債投資のほうが、信用リスク相当分が利子収入に上乗せ計上されるため、ほぼ信用リスクを意識しないで済む国債への投資と比較して優位に判断することが可能です。ただし、金利の上昇局面では、保有している債券に評価損が発生します。金利上昇がピークを迎えた後は、金利が横ばいから低下方向となることが期待され評価損の発生を怖れる必要は少なくなります。

債券は保有を継続していると、イールドカーブが右肩上がりの順イールドになっている限り、年限の経過によるローリング効果から収益を獲得することが可能です。金利上昇のピークは事前に予想することが困難です。経済の実態から推定される中立金利や自然利子率などを考慮しつつ、少しずつ時間と水準を分散しながら、国内債券への投資を拡大することは面白い取り組みと考えられます。

これまでの低金利局面では、ヘッジ外債やプライベートクレジットなど、国内債券への代替投資先が注目されてきました。しかし、ヘッジコストの高止まりやグローバル経済の低迷といった状況を考えると、国内債券への投資を見直すことが考えられます。

国内債券投資の手法と評価

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