前回の株式編・第2回では、株式運用にとって①リスク当たりのリターンを高めることが重要②そのために株式内の分散投資が欠かせない③その際には異なったリターン源泉、リスク特性を持つ株式ファクターに分散するべき――といったことを学びました。このファクターの代表例として、株価が割安と考えられるバリュー株、利益成長性が高いと考えられるグロース株があり、相互補完関係が期待できるということでした。
第3回の今回は、クオリティ株と最小分散です。ともにリスク低減のためのファクターとされています。

複利効果で「負けずに勝つ」

のっけから「そもそも論」になりますが、リスクを低減するためにも、債券という存在があるのではないでしょうか。上記①や②の指摘のように、株式ポートフォリオの内部にも「安定化装置」が必要なのでしょうか。

金武 ポートフォリオ全体のリスクを低減させる手段として、株式と債券の分散効果を高めるのは大事です。しかし、それだけでなく株式比率自体を減らす方法や、これからご説明する株式運用自体のリスクを低減させる方法などもあります。

では、なぜ「株式運用自体のリスク低減」が重要なのか。その意義について考えてみたいと思います。

その際のキーワードが複利効果です。複利とは、運用で得た収益を再投資することで元本が増え、その後の収益がより大きくなることです。一方で収益がマイナスの場合は元本が減るため、その逆になります。対義語は「単利」で、再投資をしない場合の収益率となります。

株式など価格変動性が高い資産を運用する場合は、この複利効果によって短期的なマイナス・リターンを極力抑制したほうが、長期的な累積リターンは高くなるという結果をもたらします。言い換えれば「負けないことで勝つ」ということです。

具体例で説明していただけますか。

金武 下の図表1は、パターンⅠとパターンⅡという、リターンの出方が異なる2つの例を示しています。各期のリターンが異なるものの、その単純合計は同じ(ここでは40%)であることが大事な点です。

このことで元本がどう変化したかを見たものが図表2です。元々100であった元本は、第4期においてパターンⅠが146(累積リターン=46%)、パターンⅡが108(累積リターン=8%)となり、大きく差が開いたことがわかります。

この原因になっているのがパターンⅡの第2期リターン(マイナス50%)です。一度元本が大きく棄損してしまうと、その後のリターンが高くても(パターンⅡの第3期リターン=50%)元本の回復は難しくなるということを示しています。
このようにリスク資産投資では、短期的なマイナス・リターンを極力抑制することが運用効率化にとっての得策となります。

【図表1】複利効果の例(各期リターン:イメージ図)

複利効果の例(各期リターン:イメージ図)

【図表2】複利効果の例(各期元本:イメージ図)

複利効果の例(各期元本:イメージ図)

利益と財務の「質」でリスク低減

ちょっと回り道をしてしまいました。まず、クオリティ株について教えてください。

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