豊富な研究資金を確保する海外大学との競争や少子化に伴う財源確保のため、大学の資産運用の重要性が叫ばれている。その裏では既に、寄付金を主な財源とした「エンダウメント(基金)」という独自の運用体制の下、少しでも高い利回りを追求しようと努力する担当者の姿がある。大学基金の運用担当者や有識者の声を通じ、教育法人の資産運用戦略と今後の展望について概観する連載「大学基金の運用戦略」。第4回では東京大学大学院教育学研究科 教育学研究員の川崎成一氏に、私立大学の資産運用の現状や今後のさらなる運用の高度化に向けたアドバイスをうかがった。

単年度ベースと中長期ベースの「二階建て」が運用高度化の方向性

川崎成一氏
東京大学大学院教育学研究科
教育学研究員
川崎成一氏
東京大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。東京大学 大学総合教育研究センターを経て現職。近著に『市場化時代の大学経営分析』(東京大学出版会、2020)など

日本の私立大学の資産運用状況を概観すると、ごく一部の有名大学が年金基金などの機関投資家の間で主流となっているポートフォリオ運用を増進する一方、大多数の私大は依然として国内債券・現預金中心のローリスクな運用を続けている現状がうかがえる。世界的に日本の大学の教育研究における存在感の低下が懸念されたり、少子化に伴う財源の先細りなどの懸念があったりするなかで、私立大学にとって資産運用は大学の活性化のための有力なツールの1つとして期待されているが、多くの大学は上手く活用できていないようだ。

東京大学大学院教育学研究科で教育学研究員を務める川崎成一氏によれば、大学はもともと永続的な組織体であるから、本来であれば、時間を味方につけた中長期的な資産運用を採用することで大きな複利効果を得られるはずだという。にもかかわらず、多くの私立大学は単年度など短期的な視点での資産運用しか手掛けておらず、投資する資産も債券など単利中心のものが多い。

こうしたギャップはなぜ起こるのだろうか。

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