キリバ・ジャパンが2016年4月28日に開催した記者会見で、新たに代表取締役社長に就任した桑野祐一郎氏らが、同社のビジネスや今後の展開について語った。

桑野祐一郎氏
TMSの意義やメリットについて説明するキリバ・ジャパンの新社長、桑野祐一郎氏

キリバは全世界の事業会社を対象に、資金の可視化や効率化などの財務管理機能をクラウドコンピューティングで実現するトレジャリー・マネジメント・システム(TMS)を提供している。日本法人のキリバ・ジャパンは2012年に設立。コニカミノルタや日清ホールディングスなど、国内においてもキリバのTMSを導入する事例が増えている。

記者会見には、2016年1月にキリバ・ジャパン代表取締役社長に就任した桑野祐一郎氏と、米国本社から来日したキリバ会長兼CEOのジョンルーク・ロバート氏、キリバ・ジャパンの共同出資者であるサンブリッジグループのCEO、アレン・マイナー氏の3名が出席した。

ロバート氏はキリバのTMSについて、「名だたるグローバル企業が採用しており、業界やセクターに依存しないシステムだ」と紹介。2016年4月現在で、およそ100カ国で1300社以上の企業が導入していることを示した。日本市場については「米国に次いで2番目にTMSの採用が進んでいる。今後も長期的なコミットメントをしていきたい」と話した。

新社長の桑野氏は、TMSとERP(統合業務パッケージ)の違いについて「TMSは未来のお金を管理するシステム」と位置付けたうえで、従来は手作業で管理していた財務管理を、TMSの導入によって自動化するメリットについて説明した。

「グローバル企業にとって、企業財務を取り巻くリスクは増えている。海外子会社に対して本社が十分なガバナンスを効かせるためには、海外の銀行口座の残高や資金の流れの可視化は欠かせない」(桑野氏)

企業財務の効率化について桑野氏は、コニカミノルタがキリバのTMSを導入したことで、手持ち資金を2000億円から1100億円に圧縮できた事例などを紹介。「財務業務の高度化を通じて、日本企業の国際競争力を強化したい」と結んだ。

キリバ
左から、キリバ会長兼CEOのジョンルーク・ロバート氏、キリバ・ジャパン代表取締役社長の桑野祐一郎氏、サンブリッジグループCEOのアレン・マイナー氏

サンブリッジグループCEOのマイナー氏は、桑野氏の新社長就任について「キリバ・ジャパンは事業の立ち上げの段階を終え、拡大の段階へと移った。これまでセールスディレクターとして活躍してきた桑野氏こそ、次のステージにふさわしいリーダーだ」と評した。

マイナー氏はさらに「これまでExcelのスプレッドシートとメールで行われていた海外子会社の財務管理がクラウドのシステムに置き換わり、正確かつ効率的な資金管理が行われれば、多くの日本企業に眠っているキャッシュが有効活用されることになり、ビジネスの活性化にもつながるだろう」と語り、キリバのTMSが個々の事業会社だけでなく、日本の産業界全体の発展に寄与する可能性について訴えた。