2016年11月9日、クラウド型資金・財務管理ソリューションを提供するキリバ・ジャパンは記者会見を開き、日本CFO協会と共同で行った「事業のグローバル化に伴う財務・リスク管理に関する実態調査」の結果を発表した。

桑野 祐一郎氏
キリバ・ジャパン
代表取締役社長
桑野 祐一郎

同調査は、日本CFO協会会員を主体とした日本企業の財務部門担当者を対象に行われた(回答者は283人)。財務の高度化に向けて何から始めていいかわからない、専門的な人材がいないうえ、人材育成プログラムもないといった声をよく聞くことから、「改めて日本企業の実態を把握するために実施した」(キリバ・ジャパン代表取締役社長の桑野祐一郎氏)というのが主な調査理由となる。

調査結果を見ると、「CFOが対応すべき課題」の設問の1~3位は「グローバル化をリードする人材の獲得・育成(78.4%)」「経営資源の最適分配と収益性の向上(75.9%)」「グループガバナンスの再構築(57.8%)」となった。他方で「CFOにとっての重要課題」の設問の1位は「企業価値最大化を達成する投資マネジメントの徹底(68.3%)」となり、2~5位には「会計や財務オペレーションの効率化(42.7%)」「ファイナンス人材の確保・育成(37.7%)」「事業管理に資する情報の提供(35.7%)」「キャッシュマネジメントの高度化(34.2%)」が続いた。

福永 健司氏
PwCあらた有限責任監査法人
財務報告アドバイザリー部
パートナー
福永 健司

加えて、「課題を解決していく上で必要となる経営資源」の1位と2位には「人材(91.5%)」「IT・情報化(51.8%)」が並んだ。PwCあらた有限責任監査法人 財務報告アドバイザリー部 パートナーの福永健司氏は「財務の高度化のために人材育成の強化や補完的にシステムを活用すること、実際の業務ではガバナンス、キャッシュマネジメント、業務オペレーション、情報の高度化を行うことで収益性、ひいては企業価値の向上を目指そうというCFOや財務担当者の姿が浮かびあがってきた。当たり前のことのようだが、日本では多くの企業ができていないのが実態だ」と指摘する。

さらに福永氏は財務の高度化の進む欧米との違いに、外部リソースの活用を挙げる。前出の「CFOにとっての重要課題」で「外部リソースの活用」と回答した企業は2.5%に過ぎないが、「財務部門における人材育成」の設問の1位に挙がった「OJT重視」には86.9%の企業が回答している。

「日本の企業には、外部リソースを使って財務を高度化させようという発想がないことがわかる調査結果となった。だが、個人的にはTMS(財務管理・資金管理システム)の導入は、財務の高度化に有用だと考える。例えば、海外のベンダーが提供するTMSは欧米の財務資金業務のノウハウの塊であり、システムとともにさまざまな知見を業務に活かすことができる」(福永氏)

今回の調査結果を基に、キリバ・ジャパンはグローバルレベルの財務人材育成のための支援を本格化させる。これまでも自社で編纂した財務用語集を頒布していたが、これからは「教育」「アライアンス」「ネットワーキング」「製品」の4つを軸に支援を進めるという。桑野氏は「例えば、2017年1月からは『今さら聞けない財務セミナーシリーズ』を開催する予定だ。コンサルティング企業とともに導入しやすいソリューションの紹介や、キリバ製品のスターターパッケージの提供も予定している」と今後の展開を語った。

<調査結果の詳細はこちら>
■一般社団法人日本CFO協会

<お問い合わせ先>
■キリバ・ジャパン