2019年7月2日、グローバル不動産の投資・運用に携わる不動産投資顧問会社や資産運用会社が共催で、「グローバル不動産投資カンファレンス2019」を開催した。2011年から始まり第9回を迎えた、同カンファレンスの模様を紹介する。

カンファレンス
カンファレンスには、機関投資家や年金基金など約150名の業界関係者が参加した

カンファレンスでは、グローバルでの不動産投資のトレンドや市場動向などが、講演やパネルディスカッション形式で論じられた。

その中でも、不動産市場のトレンドがテーマとなったセッションIでは、まず、「不動産投資の長期トレンドを踏まえたポジティブ・インパクト投資の考え方」と題して、CSRデザイン環境投資顧問代表取締役社長の堀江隆一氏が講演を行った。

堀江氏は、英国キングスクロス駅周辺の大規模再開発事例を挙げつつ、「環境だけでなく、雇用の増加や手ごろな価格帯の物件の充実など、社会・経済的な便益を計画当初から意図して開発し、効果を計測・公表している点が特徴的だ」と解説する。

続けて、「メガトレンドを捉える! 今後の不動産業界を取り巻く構造的テーマとソリューションとは?」と題してパネルディスカッションを行った。ESG、インパクト投資、人口動態、テクノロジーなどをテーマに、堀江氏がモデレーターを務め、3名のパネリストが参加した。

ハイトマン インターナショナル LLCのマネージングディレクターを務める木浦尊之氏は、気候変動リスクに着目する。木浦氏は、商業用不動産に気候変動リスクが織り込まれていない点を懸念しつつ、「今後は不動産への興味の減退や物件運営費用の増加などが顕在化してくるだろう。その先にある、投資家のキャッシュフローの低下も見据えて開発・投資を進めるべきだろう」と指摘する。

シニアハウジングの動向を紹介したのは、PGIM リアルエステート・ジャパンのエグゼクティブ・ディレクターの有村政基氏だ。米国ではインディペンデントリビングやアシステッドリビングという高齢者向けの賃貸住宅が機関投資家の投資対象にもなりつつあるという。
「月額利用料は60万~100万円と高級路線でサービスの対象が幅広い。平均滞在年数は3年となり、頭金を支払わない賃料体系の人気が高い」(有村氏)

シービーアールイーのキャピタル アドバイザーズ シニアディレクターである武藤淳一郎氏は、ミレニアル世代の消費行動の特徴や先進国・新興国における自動車登録台数の推移とともに自動車産業が不動産に与える影響を話した。武藤氏は、「自動運転などの新技術の発展により、人々の自動車に対する意識はさらに変わるだろう。米国では駐車場の需要が極端に減ってきており、駐車場用地の再開発案件が増してきている」と結んだ。