2025年2月上旬、BNPパリバ・アセットマネジメントのグローバル社債チームでシニア・ポートフォリオ・マネジャーを務めるミシェル・ボー氏が来日した。同氏は日本の機関投資家に、投資適格(以降IG)に格付けされる欧州社債の注目すべき投資機会として、「ネットゼロに向けたトランジション」への注目を促す。その背景と同社の運用戦略についてインタビューした。

BNPパリバ・アセットマネジメント・ミシェル・ボー氏
BNPパリバ・アセットマネジメント
シニア・ポートフォリオ・マネジャー(グローバル社債チーム)
ミシェル・ボー

ECBは年内6回利下げを予想。欧州債券に追い風

欧州の投資適格クレジットの投資環境をどのように見ているか。

ボー まずマクロ面に注目すると、欧州は足元で景気の減速基調が目立っているが、中長期的に見て我々はそこまで欧州のファンダメンタルズを悲観していない。2026年にかけての当社予想では、欧州経済はマイナス成長には陥らず、1%前後の低成長を維持していくと予想している。物価動向については、景気がそれほど減速しない場合でも、欧州のコアインフレ率は2026年にかけて2%前後に落ち着いていくとの見立てだ。

そうした中で、欧州金利はだんだんと下がっていくだろう。2025年中、ECB(欧州中央銀行)の利下げが複数回あると予想されている。当社では6回の利下げにより、政策金利は最終的に1.25%まで低下するとみている。

欧州の債券投資に追い風が吹いている状況ということか。

ボー その通りだ。当社の予想では、欧州投資適格(IG)債券は2024年のトータルリターンが4.0%だったのに対して、2025年には4.3%まで拡大すると見込んでいる。

その4.3%の内訳は、金利水準(国債+クレジット・スプレッドのキャリー)やデュレーション(金利低下のキャピタルゲイン)による寄与が大きく、クレジット・スプレッドの全般的なタイト化は見込んでいない。しかし、景気減速に伴い、過度にスプレッド拡大が見られる業種セクターや個別銘柄も出てきており、アクティブ運用によるアルファ収益の機会は多い。良好な超過収益を得やすい環境と言える。

“優等生”でない欧州IG社債に焦点。分散も確保

追い風が吹く中で、日本の機関投資家に注目してほしい欧州IGクレジット戦略は。

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