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G20声明の為替文言修正は予想外の円高を招来か?
- G20は3年ぶりに為替文言を修正
- 今回の文言修正に特段の意図はない
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G20は3年ぶりに為替文言を修正
外国為替市場では、2021年4月7日に発表されたG20(20カ国財務相・中央銀行総会議)による共同声明の為替文言が修正されたことに注目が集まっている。
G20は今回、2018年3月のブエノスアイレ会議以来踏襲されてきた「柔軟な為替レートは、場合によっては、ショックを吸収するものになりうる。」の部分を、「我々は、為替レートは根底にある経済のファンダメンタルズを反映することに引き続きコミットし、また、為替レートの柔軟性は経済の調整を円滑化しうることに留意する。」に差し替え、さらに「我々は、外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する。」と加筆した。
今回の文言修正に特段の意図はない
これを受けて、一部報道は2021年4月8、9日に連日「為替文言見直し、ドル高を容認」「米国の方針転換が明確となった」「ドル安誘導姿勢を転換」などと報じたが、これはミスリーディングといえよう。今回の「我々は、為替レートは根底にある経済のファンダメンタルズを反映することに引き続きコミットし、また、為替レートの柔軟性は経済の調整を円滑化しうることに留意する。」との部分は、2015年9月のアンカラ会議まで繰り返し使われてきた文言の焼き直しである。
また、「我々は、外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する。」というのは、2016年上海会議まで毎回のように盛り込まれてきた(資料参照)。すなわち、今回の修正は過去に為替政策変更の意図をもって使用された文章とは全く性格を異にしている。
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