集中リスクが高まるグローバル株式市場に、機関投資家はどう向き合うか 典型的な高配当銘柄に限らず、「配当成長が期待される企業」にも目を向ける
グローバル株式市場は、AI(人工知能)関連企業を中心とする力強い業績拡大を背景に堅調な推移を続けている。一方で、指数上位の少数の超大型銘柄への集中は一段と進み、機関投資家にとっては、リターン機会の取り込みと集中リスクへの備えをいかに両立するかが重要な課題となっている。こうした環境下で注目されるのが、配当収益や配当成長を含めたトータルリターンの考え方だ。株価上昇だけに依存せず、下落耐性と上昇相場への追随をどのようにバランスさせるべきか。英大手保険・金融グループ傘下の資産運用部門アヴィバ・インベスターズのグローバル株式ファンドマネージャーと、同社と共同でグローバル株式インカム戦略を提供する東京海上アセットマネジメントに話を聞いた。
好調なグローバル株式市場に潜む集中リスク

グローバル・エクイティ・
ファンドマネージャー
エドワード・ケヴィス氏(右)
東京海上アセットマネジメント
外部委託運用部 兼 運用開発部
シニアファンドマネージャー
三浦 出氏(左)
足元のグローバル株式市場をどう見ているか。
ケヴィス グローバル株式市場は好調な推移を見せている。企業業績が底堅く、2026年1~3月期の決算を見ても、米国企業の利益成長率は前年同期比で20%を超えた。また、2026年通期でも、グローバル株式全体で20%超の収益成長が見込まれている。
この力強い業績の牽引役はAI関連企業だ。いわゆる「マグニフィセント・セブン」の利益成長率は、市場全体を大きく上回っている。
しかしながら、現在のグローバル株式指数では、時価総額上位10社だけで指数全体の40%強を占める。これは過去10年間で顕著に進行した構造変化であり、機関投資家は「市場の集中リスク」を十分に警戒する必要があるだろう。
中東情勢を背景にエネルギー価格が上昇し、インフレ再燃への懸念もあるが、株式市場が非常にレジリエントであるのは興味深い。特に米国企業の業績は依然として堅調なので、現時点では、原油価格の上昇が企業の利益見通しに大きな影響を与えているとは見ていない。また、地理的に紛争地域から離れている米国は地政学的な混乱の影響を受けにくいと市場参加者が見なしている面もあり、結果として米国株への資金集中が一段と進んでいる。
三浦 実際に、日本の機関投資家と対話していても、世界の株式市場で少数の超大型銘柄への集中が著しいことについて懸念を持つケースは少なくない。長期的な資産保全を意識する投資家にとって、インデックス対比でより分散され、ダウンサイドの抑制を重視したアクティブ戦略は検討対象になり得るだろう。そのなかで、配当収益や配当成長をリターン源泉として捉えるグローバル株式インカム戦略も、選択肢の1つとして位置づけられる。
配当利回りだけでは捉えきれない株式インカムの評価軸

一般に、株式インカム投資戦略にはどのような特徴があるか。
ケヴィス 一般的に株式投資の収益源泉は、キャピタルゲイン(値上がり益)がイメージされる。しかし下図を見ると、株式投資における長期のインフレ調整後トータルリターンにおいて、配当収益および配当成長(1株当たりの配当の増加)が顕著なドライバーとなっていることが分かる。

(2025年12月末現在)
とりわけコンスタントに配当を出せる企業には、安定したキャッシュフロー創出力や比較的強固な事業基盤を持つ企業が多い。したがってインカム投資は、安定的なトータルリターンの形成に寄与し得ると考えている。
高配当利回り銘柄を中心に投資する一般的なグローバル株式インカム戦略は、下落局面での防御力を期待されることが多い。市場が下落したときに、相対的に下落幅を抑えることができれば、投資家の資本保全に寄与すると期待できる。
ただしインカム投資は、公益事業や金融、エネルギー、消費財といった「成熟したインカムセクター」への比率が高くなりやすいのも特徴だ。そうした企業は下落局面への耐性が期待できる半面、市場の上昇相場では収益成長を十分に取り込みにくい面があるだろう。
株式インカム投資戦略で、上昇相場への追随を目指すには、どのようなアプローチが有効か。
ケヴィス 企業のライフサイクルにおける「成熟度」を正しく認識し、特性の異なる銘柄群を組み合わせてポートフォリオ全体のバランスを管理するアプローチが有効と考える。具体的には、「マーケット下落局面での下方耐性が高い成熟企業」を土台としながら、「景気サイクルを通じて安定的なインカムリターンを積み上げられると予見される企業」、そして、アップサイドを狙い「将来的に大きな配当成長が期待できる成長過程の企業」を適切なバランスで組み込むことが重要となる。
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