ラザード・ジャパン・アセット・マネージメント 日経平均株価5万円は通過点。日本株は「アジアの一部」から「独立した資産クラス」に
日経平均株価が歴史的な5万円台に乗り、新たなフェーズに入った日本株。ラザード・ジャパン・アセット・マネージメントで日本株戦略のポートフォリオ・マネージャーを務める福田智美氏に市場の動向と今後の見通しについて聞いた(記事内容は2026年3月初旬)。
PBR1倍は「ゴール」ではなく、「エクセレント企業への第一歩」

運用部 ディレクター
ポートフォリオ・マネージャー/アナリスト
福田 智美氏
日本株市場の動向は。
足元では、イラン情勢やそれに伴う原油価格の上昇を背景に相場は調整局面にあるが、日本株市場が中長期的に上昇していく見通しに大きな変更はない。2025年4月にトランプ政権が相互関税を打ち出した際のように、短期的に相場が荒れることはあっても、日本経済や企業のファンダメンタルズそのものは堅調だからだ。海外投資家は、日経平均株価5万円は通過点であり、3~5年の目線では6万円超えも十分視野に入るとみているようだ。
その背景には大きく3つの要因がある。 1つ目はインフレ環境による企業の利益率改善、2つ目は東京証券取引所の「資本コストや株価を意識した経営」要請などを含むコーポレートガバナンス改革の進展、3つ目は政権基盤の安定による政策決定の円滑化だ。

株価水準について、割高ではないかと指摘する声も聞かれる。
バリュエーションは依然として割安水準との認識だ。企業価値(EV)をEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)で割ったEV/EBITDA倍率で見ると、S&P500が約13倍であるのに対し、TOPIX500は約8.7倍にとどまる。PBR(株価純資産倍率)もS&P500が約3.8倍に対し、TOPIX500は約1.5倍だ。
したがって、PBR1倍割れの解消はゴールではなく、本業で持続的な利益を創出する「真のエクセレントカンパニー」に向かうスタートラインにすぎない。
また、TOPIX500のROE(自己資本利益率)は約10%まで上昇しているものの、その半数ほどがネットキャッシュ企業であることを踏まえれば、さらなる改善余地は大きい(図表2)。

※日本:MSCI Japan、米国:MSCI USA、欧州:MSCI Europe
売上・利益至上主義の経営が資本効率重視に変化
機関投資家の投資動向に変化は。
海外投資家の資金流入は続いており、欧米のみならず世界中のロングオンリーの投資家も入ってきている印象だ。さらに、従来は「アジアの一部」として組み入れられていた日本株が、今は「日本株という独立した資産クラス」として見られ始めている。中国への投資を控える動きが続くなか、成長余地があり、かつ比較的安全な投資先として選好されているのではないか。
日本の経営者の財務に対する意識が、売上・利益至上主義(PL偏重)から資本効率・キャッシュ創出重視(BS・CF経営)へと変わり始めていることへの注目度が高い。2026年6月に予定されるコーポレートガバナンス・コード改訂にも関心が集まっており、現預金を含めた経営資源の適切な配分を通じた資本効率の改善にさらなる期待がかかる。
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