「TPA」は日本でも有効か〜新ポートフォリオ理論巡り、証券アナリスト協会セミナーで議論
公益社団法人・日本証券アナリスト協会(英文略称:SAAJ)は2026年5月28日、東京都内で第17回SAAJ国際セミナーを開催した。演題は「新しいポートフォリオの組成コンセプトと運用組織の戦略:トータル・ポートフォリオ・アプローチ(TPA)の最先端」。海外の大手機関投資家を中心に採用が広がるポートフォリオ理論が日本でも適用可能なのか、また有効なのか。識者によるパネルディスカッションで、理論の説明と活発な議論が展開された。そのエッセンスを紹介する。
(阿部圭介J-MONEY論説委員)
セミナーではセッション1として、伊藤豊・金融庁長官が「『資産運用立国』の更なる推進──資産運用サービスの高度化・アセットオーナーの機能向上への期待」と題して講演した。また、セッション2では「アセットオーナーが取り組むトータル・ポートフォリオ・アプローチの最先端」とのタイトルで、海外の識者2氏がビデオメッセージでTPAの導入例や背景などを説明した。

セッション3はパネルディスカッション。セミナーの全体タイトル通りの「新しいポートフォリオの組成コンセプトと運用組織の戦略:トータル・ポートフォリオ・アプローチの最先端」とのテーマで、TPAの説明と議論が展開された。パネリストとモデレーターは以下の方々。
| 木須 貴司氏 | かもめリサーチ&コンサルティング(株)代表取締役社長 |
| 杉本 直也氏 | 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 資金運用本部副本部長 兼 資金運用室長 |
| 前田 飛鳥氏 | ワーズワトソン・インベストメント・サービス(株) ポートフォリオ・ソリューション部長 |
【モデレーター】
| 鎗田(やりた)良信氏 | 日本代替投資研究所 創業者・代表取締役 |
実践課題解決のための「哲学」
パネルディスカッションの冒頭、会場でライブアンケートが行われた。「あなたのTPAについての関心度」を聞いたところ、以下のような結果だった。
関心はあるが理解は十分ではない 63%
関心があり、よく理解している 12%
聞いたことがある 12%
まったく知らなかった 12%
口火を切る形で、かもめリサーチの木須氏が「TPA概論」を解説した。そもそもTPAとは何か。木須氏は「ポートフォリオ全体の目的達成に向けた統合的な運用フレームワークである」と述べた。従来のポートフォリオ管理である「戦略的アセットアロケーション(SAA)」は、資産クラス単位の固定配分を前提とする。それに対してTPAはリスクファクターを「共通言語」として、資産横断的にリスク・リターンを把握する。特徴として以下の3点があるという。
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