世界的金融バブル崩壊なら1ドル=90円割れも視野に コロナ拡大による需要ショックの先行指標として下落した原油価格
コロナウイルスの感染拡大は、世界的なサプライチェーンの寸断を通じて経済活動を阻害している。2020年2月以降、世界中の多くの中銀が利下げの実施や資金供給の拡充を行った。しかし、利下げ余地は限られており、手詰まりの感がある。今回のショックが、世界的な株式バブル崩壊の引き金になる可能性は否定できない。
(記事内容は2020年3月16日時点)
2020年初頭の為替市場は経済堅調のドルの独歩高に
2020年初から3月上旬までに、文字通りコロナウイルスの感染拡大が為替市場を席捲した。その中で、筆者の第一の注目は原油価格の一貫した下落であった。代表的な原油価格の指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターメディエイト)の下落率は48.3%(以下数値は特筆しない限りすべて年初来上昇率)に達した。一方、米国の株式市場が明確な下落を開始したのは2月の下旬であった。S&P500は、2月21日以降の3週間足らずに18.6%下落した。これは今回、原油市況が他のアセットクラスを凌駕して、コロナウイルスの感染拡大が世界経済に与えるディマンドショック(需要ショック)を最も的確に反映した先行指標であったことを物語っている。
第二に注目すべきはドルの上昇である。2月7日発表の米雇用統計(1月)が前月比22.5万人増(市場予測約16万人)になるなど、米国経済の堅調さを反映して、ドルはこの2カ月間にほぼすべての通貨に対して上昇した。主要通貨の中で最もドルの上昇が著しかったのは対資源国通貨である。3月6日までのドルの最大上昇率は、G10通貨では、対豪ドル(7.5%)、対ニュージーランドドル(7.4%)、対ノルウェークローネ(7.9%)、エマージング通貨では、対ブラジルレアル(14・8%)、対南アフリカランド(10.7%)となっている。コロナウイルスの感染拡大による世界景気の減速懸念に加えて、原油価格下落の直接的な影響、景気悪化や利下げなど、各国国内の個別要因が各通貨の下落を招いた。
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