前回に続く【番外編】。日本を除く主要な先進国の間で金利のイールドカーブが通常のかたちではなく、「逆イールド」になっている現象にフォーカスします。前回は理解の前提となる「イールドカーブ」そのものを理論面から掘り下げました。今回は歴史を振り返りながら、逆イールドとはどういった現象なのか、それが示すものは何か。ラッセル・インベストメントの金武伸治さんに伺います。

理論に反する逆イールドの形状

主要先進国のイールドカーブの多くが昨今、逆イールド化していますが、前回の説明では理論的には異例な状態とのことでしたね。

金武 前回は、イールドカーブがどのようなメカニズムで形成されているかをお話ししました。短期金利と比べて長期金利には将来にわたる不確実性を伴うため、そのリスクを負う対価としてリスク・プレミアムが乗せられており、このためイールドカーブは右肩上がりになるのが正常な状態です。

さらに短期国債と長期国債の組み合わせの方が、中期国債と比べて同じデュレーションであってもコンベクシティが大きい。このため、金利が上昇しても低下しても債券価格の上昇に寄与するコンベクシティが相対的に小さい中期国債には、そのデメリットを賄う分だけの金利が上乗せされる。こうしたことで、イールドカーブが上に凸になること(膨らみを持つ)を説明しました。

従って、イールドカーブが右肩下がりとなり、かつ下に凸となる逆イールドの形状は理論に反した現象と言えます。

2000年以降では3回発生

過去にも逆イールド化現象が発生したことはありますか。そしてその後、どのようなことが起こったのでしょう。

金武 2000年以降ですと、逆イールド化現象は3回発生しています(2019年の一時的な現象を除く)。

1回目は2000年に発生しました。2000年3月に逆イールドが最大化し、その後2003年7月にかけてスティープ化、つまり右肩上がりの正常なイールドカーブに復帰しました。

2回目は2006年11月に逆イールドが最大化し、その後2008年2月にかけてスティープ化しました。

そして3回目が今回です。逆イールドの程度という意味では今回が2000年以降で最も大きいです。

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