DC(確定拠出年金)の運営において先進的な取り組みを行う企業の担当者や、制度に精通した有識者の知見に迫る連載「Inside DC」。第3回は、国内有数のITソリューション企業であるTISIを取り上げる。DCの専門組織を設けず、人事部門を中心に対話を重ねながら制度を運営するTISIは、どのようにDCのガバナンスを機能させているのか。同社のキーマン2人に話を聞いた。
・制度導入時期/2005年1月
・DC100%への移行完了時期/2013年4月
・代表事業主/TISI
・加入者/(規約全体)約8,300名、(単体)約6,000名
・運用指図者/(規約全体)約460名、(単体)約300名
・加入率/(単体)約97%
・想定利回り/(単体)0%(2013年4月の制度改定時に変更)
・マッチング拠出制度導入時期/2017年10月
3社合併時は「想定利回り0%」で退職金制度を一本化し給付水準を確保
御社のDC制度の概要と、運営を担う体制についてお聞かせください。
工 DC制度は2005年に導入しました。大きな転機は2011年の他社との経営統合(3社合併)です。それぞれの会社が持っていた退職金制度を一本化するため、他社の事例なども参考にしながら約2年かけて制度統合を進め、2013年4月にDC100%の制度への移行が完了しました。

TISI
人事第1部
セクションチーフ
工 勝幸氏
(左)
TISI
人事第1部
セクションチーフ
木村 奈央氏
当時はDCに対して「運用責任を社員に負わせるものではないか」という見方も少なくなかったため、制度改定にあたっては想定利回りを0%に設定しました。社員に安心してもらえる設計を意識し、仮に運用益が得られなくても従来の給付水準を確保できる仕組みとなっています。
木村 当社のDC制度の主管部署は人事本部で、「DC委員会」といった独立した会議体は設けていません。当社にはDB(確定給付企業年金)基金のような既存の運営母体がなかったため、DCのためだけに新たな組織体制を新設するのはハードルが高いという事情もありました。
DCのガバナンスも、会社にもともと存在する組織体制や決裁基準のなかで担保しています。既存組織のなかで運営すれば、DCのためだけに新しい会議やルールをつくらなくてもよく、比較的柔軟に動くことができます。DC運営のために組織を大掛かりに構築しなくても、ガバナンスは機能させられるというのが、当社の経験から感じているところです。
もう1つ重視しているのが、DCと経営方針を一体としてとらえることです。2017年ごろから「心身の健康」「働きがいの向上」「生活力の向上」を健康経営の柱に掲げ、DCを「生活力の向上」を支える施策として位置づけました。福利厚生を単なるコストではなく「社員への投資」としての位置づけを明確にしたことで、経営陣にも金融教育の重要性をスムーズに理解してもらえるようになりました。
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