SGX FX CEO ジャン・フィリップ・マレ氏に聞く、電子取引テクノロジーの現在地と未来
シンガポール取引所(SGX)グループの店頭(OTC)為替事業を担うSGX FXは、バイサイド向けの「BidFX」、セルサイド向けの「MaxxTrader」の両プラットフォームと、シンガポールに拠点を置く匿名ECN「SGX CurrencyNode」を軸に、世界10都市超で電子取引基盤を提供する。同社を率いるジャン・フィリップ・マレCEOは、株式、上場デリバティブ、債券、為替と資産クラスを横断し、20年以上にわたって電子取引システムを構築してきた。電子化は為替市場の構造をどう変え、AIは何をもたらすのか。「為替」から「マクロ」へと進化する取引基盤の未来像を聞いた。

最高経営責任者(CEO)
ジャン・フィリップ・マレ氏
電子化がもたらした構造変化
電子取引全体を俯瞰して、この20年でどのような変化が起きてきたのか。
私自身のキャリアが、各資産クラスの電子化の歴史とほぼ重なっている。電子取引の世界に入ったのは2004年のロンドンだ。その後、欧州、米国、アジアと拠点を移しながら、株式に始まり、上場デリバティブ、債券、そして最後に為替へと、地域も資産クラスも横断してシステムを構築してきた。当時は多くの市場がまだ完全には電子化されておらず、地域・資産ごとに電子化が進む過程を最前線で見てきたことになる。
そこで一貫して観察されるのは、市場が電子化すると、取引のスピードと件数が一気に加速するという現象だ。
電子化の初期段階では、市場全体の電子化比率はわずかな割合にとどまり、その主目的もSTP(ストレート・スルー・プロセッシング=約定から決済までを人手を介さず自動でつなぐ処理)の実現にあった。しかし電子化が進むにつれて取引の回転は速まり、件数は指数関数的に増える。一方で1件あたりの取引サイズはむしろ小口化していく。
これを後押ししたのが、あらかじめ定めた条件でコンピューターが自動執行するアルゴリズム取引の発達だ。ただし為替市場に限れば、市場全体の拡大とともに件数が増えるだけでなく、1件のサイズが大きくなる局面もあった。
その電子化は、為替市場のコスト構造をどう変えたのか。
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