金融庁「プログレスレポート」読み解き+資産運用課長インタビュー 非効率な事務処理「業界挙げて改善を」
金融庁は2026年7月、「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート2026」を公表した。金融機関が、家計や機関投資家に対して「最善の利益」をもたらす業務運営をしているかモニタリングした。この中で、資産運用会社や信託銀行の事務処理の標準化やデジタル化が遅れていることで、資産運用会社が運用に専念できていない可能性を指摘した。また、企業型DC・iDeCoの運営環境が非効率的で、運用商品の選定や運営管理の改善を制約している実態を浮き彫りにした。レポートを読み解くとともに、レポートをまとめた金融庁資産運用・保険監督局の永山玲奈・資産運用課長にインタビューした。(阿部圭介J-MONEY論説委員)
4つのキーメッセージ
金融庁は2020年以降、2024年を除いて「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート」を毎年公表してきた。政府が進める「資産運用立国」の一連の政策と平仄(ひょうそく)を合わせた形になっている。資産運用の機能を提供するさまざまな金融機関を横断的にモニタリングすることで、「当局と業界が現状・課題認識を共有し、協働してインベストメントチェーンの活性化、資産運用立国の実現に取り組んでいく」としている。
今回のレポートは、冒頭に「プログレスレポート2026のキーメッセージ」と題して以下の4点を掲げている。単なるレポートではなく、業界の関係者向けに明確な要望や、あるべき方向性を示しているのが大きな特徴だ。
①資産運用会社・信託銀行等の「資産運用業務・資産管理業務」の高度化
②金融グループにおける「機関投資家向けサービス」の高度化
③「企業型DC・iDeCo」の環境改善
④能力ある多様な「PEファンド」の成長
以下では、このうち機関投資家や関係する金融機関にとって喫緊の課題とも言える①、③の指摘について内容を概観する。
標準化・デジタル化に遅れ
ここでは、資産運用会社や信託銀行の事務処理などに、標準化やデジタル化が進んでいないものが多いことを指摘している。この点は、ユーザーである企業年金や金融法人などからつとに指摘され、それぞれの業界でも改善すべきとの認識はあった。ただ、改善はほとんど進んでいないのが実態だ。レポートでは、具体的に以下の3つの分野に整理して問題点を列挙している。
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