会員限定
金融庁の資産運用改革の行方 『捨てられる銀行』の著者に聞く。「森金融改革」の推進、後戻りせず
「情報の非対称性」と「利益相反」がキーワードに
「フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)」の定着を図る金融庁の狙いは。
橋本 以前より日本では、フィデューシャリー・デューティーについて「受託者責任」と訳されてきたが、金融庁は「顧客本位の業務運営」と再定義した。この意味を理解するうえでキーワードとなるのが、「情報の非対称性」と「利益相反」になる。
例えば、一般の投資家に対して情報の非対称性で優位に立つ金融機関の担当者が、「お客さまは毎月分配型商品で満足しているので、運用効率の悪さを指摘する必要はない」という姿勢は顧客本位とはいえない。また、運用会社の責務とは魅力的なパフォーマンスの運用商品を提供することだが、親会社である販売会社がより手数料を得られる運用商品を開発するのは利益相反行為になる。情報の非対称性と利益相反のリスクは、金融機関には常に付きまとう。このリスクを適切に管理し、顧客本位となるベスト・プラクティスな金融商品やサービスの実現により、「貯蓄から資産形成」の流れを本格化させようとしている。
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。