M・コーリー・ゴールドマン(M. Corey Goldman)
カナダを拠点に北米経済全般・資本市場をカバーするフリーの金融ジャーナリスト。以前は、ブルームバーグ・ニュース、CNN、トロント・スター、カナダ・フィナンシャル・ポストなどで取材・編集を担当。社会奉仕活動ではHelp For Children/Hedge Funds Care(ニューヨーク)役員を兼任。
英国のEU離脱がアベノミクスに影
安倍晋三政権は、日本経済のデフレ脱却を目指して、日本銀行によるマイナス金利の導入、大量の国債購入による量的金融緩和、実質的な円安誘導、政府によるさまざまな政策を打ち出してきた。しかし、アベノミクスが世界的な経済や市場の混乱に繰り返し翻弄されてきたことも事実だ。最近では、英国のEU(欧州連合)離脱決定がアベノミクスの先行きに大きな影を落としている。
アベノミクスのお陰で生産性、有効求人倍率、輸出、消費者心理のいずれについても改善の兆しが見られるようになった世界3位の経済大国は、今回もまた海外投資家に足を引っ張られている。世界の投資家は、金融市場が大荒れするたびにリスク回避で安全資産である円買いに走る。
英国の国民投票でのEU離脱(Brexit)派の勝利で世界の金融・株式市場は総崩れとなり、安倍首相が3年余り続けてきたデフレ脱却の努力は再び水を差されてしまった。その結果、政府は円高対策と景気テコ入れのために新しい経済対策を策定せざるを得ない状況にある。
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