図表2-4 オルタナティブ投資の検討状況
図表2-4 オルタナティブ投資の検討状況
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図表2-5 政策資産配分比率
図表2-5 政策資産配分比率

図表2-6 オルタナティブ投資の資産配分比率
図表2-6 オルタナティブ投資の資産配分比率
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2-3. オルタナティブ投資、年金運用の方向性

図表2-7は年金基金の政策資産配分内におけるオルタナティブ投資のスタンスを示す設問となっている。この結果を見ると「現在よりも資産配分を増やす」が前年比+19.8ポイント(43.1%)と、昨年度から大きく比率が上昇する一方、「現状維持」(52.3%)が同▲15.1ポイント下がっており、今後の投資が積極的なスタンスに転換していることが確認できる。

さらに、図表2-8は、今年度のオルタナティブ商品の投資ストラテジーを示しており、年金基金では「インフラ投資(再生可能エネルギー投資含む)の採用」、「安定したインカムゲインの資産(コア型不動産、インフラファンド等)を検討・増額」(それぞれ前年度比+8.8ポイント、同+12.5ポイント)の比率が上昇し、昨年度から反転している。また「流動性が高いオルタナティブ投資商品を検討・増額」(金融法人:同+11.9ポイント、年金基金:同+2.8ポイント)は、金融法人と共に比率が上昇している。

2-4. 運用環境の懸念、今後の年金基金運営の方針変化

今後の年金運用(有価証券運用)における懸念点では(図表2-9)、双方ともに「米中貿易摩擦」(金融法人:90.5%、年金基金:89.2%)が最も高率となった。続いて、「中国経済の減速」(金融法人:75.8%、年金基金:61.5%)、「米国の金融政策」(金融法人:83.2%、年金基金:49.2%)等に回答が集中している。昨今のコロナウィルスによる影響も勘案すると、双方とも中国経済の不確実性が当面の懸念事項といえる。また昨年ほどではないが「英国のブレグジット交渉の行方」(金融法人:34.7%、年金基金:38.5%)も依然として懸念事項になっているほか、「世界金融危機再来の可能性」(金融法人:23.2%、年金基金:29.2%)への注目も高いことが示された。

さらに図表2-10は、今後の年金基金運営の方向性に関する設問となっている。「予定利率の引き下げ」(29.2%:前年度比+2.5ポイント)、「オルタナティブ投資のオペレーショナルリスク調査(デューデリ)の強化」(20.8%、同+4.2ポイント)に加え、「その他」(45.8%)の項目に回答が集中した。そこに寄せられた意見の4分の1ほどは“リスク対応掛金の導入”(企業年金)であった。平成29年1月より、確定給付企業年金のリスク対応掛金の拠出が可能となり、あらかじめ積立不足に対応できるようリスク対応掛金の拠出を検討する年金基金が増加している様子がうかがえる。また“資格喪失年齢の引上げ”や“定年延長への対応”など興味深い個別意見も寄せられた。

2-5. 政策資産配分内での株式配分、国内株式のベンチマークについて

図表2-12は、年金基金が国内株式運用で使用しているベンチマークを示している。例年圧倒的に高い比率を見せる「TOPIX」はついに100.0%(前年度比+4.4ポイント)を達成する中、11/512014年1月から公表が始まった「JPX日経インデックス400」2は前年度に引き続き採用比率ゼロとなり明暗を分けた。また、「MSCIWorld」も採用比率を下げ、ゼロとなった(同▲4.4%)。

2 東京証券取引所に上場している企業約3,400社の中から、資本の効率的活用や投資家を意識した経営を行う企業400社からなるインデックス。JPX日経インデックス400は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が国内株式のベンチマークのひとつとして採用したことを表明している。