世界的な株高によって投資マネーが安全資産からリスク資産に向かうグレート・ローテーション(大転換)が本格化してきた。だが、年金基金をはじめとした国内の機関投資家の動きは逆行しており、値動きの激しい株式や金利上昇リスクにさらされている国内債券と距離を置く傾向にある。(工藤晋也)

新会計基準の導入や目標利回り低下で慎重姿勢を堅持

2013年の株式市場を振り返ると、NYダウと独DAXが史上最高値を更新。日経平均株価も大納会の終値が1万6291円31銭と6年2カ月ぶりの高値を付けるなど、景況感の改善でリスクオフからリスクオンへの動きが加速している。

しかし、年金基金をはじめとした国内機関投資家にはグレート・ローテーションの気配はあまり感じられない。リーマン・ショックに代表されるテールイベント(発生確率は低いが一度起こると非常に巨大な損失をもたらす出来事)に対する恐怖の記憶がいまだ鮮明であるからだ。ほかにも「企業年金では積立不足を母体企業のバランスシートに即時に反映する会計基準の導入などによって慎重姿勢を変えていない」とDIAMアセットマネジメント業務開発グループリーダーの由良宏明氏は指摘する。

従来よりも目標利回りが低くなったことも守りの運用スタンスを崩さない大きな要因に挙げられる。ピムコジャパンリミテッド執行役員、アカウントマネージメントグループのプロダクト兼ソリューション統括シニア・バイス・プレジデントを務める城山太郎氏は「年金基金の一般的な目標利回りは2%後半-3%前半とかつてより低くなっている。わざわざ危険を冒してまで急落する可能性が高いアセットクラスに投資する必要性は薄い」という。

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