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マクロ経済 コロナ禍で低金利が構造化。高利回り資産のバブル頻発も
人為的な経済活動抑制もやむなし
新型コロナウイルス感染症は、日本および世界経済に甚大な負の影響を及ぼした。野村證券の見通しでは、日本の実質GDP(国内総生産)が2021年度中に新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延が始まった2020年1~3月期の水準を回復するのは困難とみている。
コロナショックの影響は、単に経済水準が短期的に容易には元通りに回復しないことを意味するだけではない。「コロナ後」の経済・社会構造は、「コロナ前」とは一変したものとなる可能性がある。
コロナ後の経済・社会構造が一変する要因は、コロナショックが、従来の価値観を覆す教訓を我々にもたらしたことにあるといえるだろう。ヒト、モノ、カネの自由移動が経済にプラスとの価値観は、人同士が距離をとるべしとの教訓に置き換えられた。公共財のコストは最小化が望ましく、公的部門の経済、市場への介入は最小限であるべきとの価値観は、医療体制など社会保障・社会保険機能が一定の余力を保持することが重要だとの教訓に直面した。ボーダレス化を是(ぜ)とする価値観は、国境、県境など「境界」により人の移動を制限することが感染症制御の点でむしろ有効であるとの実態によって覆された。そして、経済効率を最優先すべきとの価値観は、生命の安全のためには人為的に経済活動を抑制・停止し意図的に効率を低下させることもやむを得ないとの考え方に変化したと言える。
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