金利などの運用環境の変化は、プライベートアセット・ポートフォリオの見直しの契機となっている。日本の機関投資家は、PE(プライベートエクイティ)、PD(プライベートデット)、インフラストラクチャーなどについてどう分散投資するべきか。有識者や企業年金基金の関係者へのインタビューを通じ、注目資産の現状と組み入れ時のポイントを探る。
為替リスクのない国内のバイアウトファンドに見直しの動き

プライベート投資部長 投資責任者
兼 プライベート投資業務部長
齋藤 大彰氏
PEやPD、インフラに代表されるプライベートアセット(未公開資産)は、株式や債券のようなパブリックアセット(公開資産)と異なり、誰でも参加可能なオープン市場で形成された価格が存在しない。基本的に金融機関や運用会社と投資家の相対で取引されるため、パブリックアセットに比べ流動性が乏しい代わりにリターンの上積みが期待できる。
「PEやPDの関連市場の活況具合を測る目安としては、ファンドの設定本数や取引資産額の推移が挙げられる。PEでは、ファンドの投資対象企業が株式公開するなどして投資家が資金回収したエグジットの件数も重要だ。金融機関や運用会社が新ファンドを設立するために機関投資家に出資を依頼するファンドレイズの状況も、市場全体のモメンタム(勢い)を俯瞰する上で欠かせない情報といえる」(アセットマネジメントOneオルタナティブインベストメンツ プライベート投資部長 投資責任者 兼 プライベート投資業務部長の齋藤大彰氏)
図表1は、アセットマネジメントOneオルタナティブインベストメンツがまとめた主なプライベートアセット市場の2024年第3四半期の状況である。同市場は、まず企業買収にかかわるPEが盛り上がり、次いでその買収資金の調達手段や出口戦略を提供するPDが活発化するという流れが一般的だ。地域別ではPE、PD、インフラとも商品の質・量で米国が圧倒的な存在感を誇り、欧州がそれに続く構図となっている。
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