経済指標を読み解く 遂に「景気の山は過ぎた」とする回答がゼロに。「CIの変化方向の予測」は景気拡張局面が当分続くことを示唆―8月調査「ESPフォーキャスト調査」―
日銀の年内利上げを回答者の9割強が予測。利上げ時期見通しは分かれ、最多の「12月」が15人、続く「10月」は14人と僅差に

宅森 昭吉
日本経済研究センターが取りまとめているエコノミストのコンセンサス調査である「ESPフォーキャスト調査」では、毎月、日米の2026年内の金融政策と政策変更時期の見通しについてそれぞれ尋ねている。
日銀に関しては37人が回答し、9割強の34人が「利上げ」、3人が「年内は動かない」と回答した。「利上げ」と回答した34人に、年内の最初の政策金利変更時期を尋ねると「12月」が15人で7月調査の22人から7人減ったが最多の回答数である。次が「10月」の14人で僅差の2位。マーケットで足元利上げ期待が高まっている「9月」は5人と全体37人の14%にとどまった。

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一方、FRB(米連邦準備理事会)の2026年内の金融政策についての質問には、全体36人の3分の2の24人が「年内は動かない」と回答した。7月調査の29人から5人減った。一方、「利上げ」は5人増の9人となり、「利下げ」は2カ月連続3人だった。回答期間が7月28日~8月4日で、8月7日に発表された7月雇用統計の弱さは反映されていないと思われる。ちなみに「利上げ」は9月が6人、12月が3人で、「利下げ」は9月が1人、12月が2人だった。

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2026年末の予測平均値は、ドル円レートが1ドル=158円00銭、日経平均株価は6万6,496円。2027年末の平均的見通し、ドル円レートは1ドル=153円83銭、日経平均株価は6万9,846円。ESPフォーキャスト調査・8月調査では、日米協調介入で1ドル=150円台後半に戻ったこともあって、2027年度末にかけてドル円レートは150円台で推移し、やや円高方向に向かう予測となっている。

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実質賃金プラスが続き、賃金と物価の好循環が生じることを示す8月調査の「消費者物価指数・予測平均値」
中東情勢の先行き不透明さから物価上昇が気になる局面である。8月調査の消費者物価指数(生鮮食品除く総合)の前年同期比予測平均値は7月調査に比べ2026年10~12月期以降の四半期でやや上昇率が高まった。10~12月期は7月調査+2.49%から8月調査は+2.50%へとわずかに高まった。その後は、2027年1~3月期の+2.98%まで上昇を続けるが、4~6月期から伸びは鈍化し、2028年1~3月期には+2.06%に鈍化する見込みだ。
「食料品消費税時限的減税」の影響を含む消費者物価(生鮮食品除く総合)前年同期比を選択するフォーキャスターが増えた。予測平均値では2027年4~6月期には+1.38%で「食料品消費税時限的減税」の影響含まない予測の平均値+2.71%から1.33ポイント低い。2028年1~3月期には減税の影響を含む予測平均値が+0.65%で、含まない予測の平均値+2.06%から1.41ポイント低い。
名目賃金指数の予測値は年度ベースで尋ねており、予測平均値は2026年度前年度比+2.82%、2027年度前年度比+2.62%だ。消費者物価指数について、帰属家賃を除く総合や総合の予測値はないが、生鮮食品を除く総合では予測平均値は2026年度前年度比+2.23%、2027年度前年度比+2.37%だ。2027年度消費者物価(生鮮食品除く総合)(「食料品消費税時限的減税」の影響含む)前年度比の予測平均値は+1.00%。実質賃金は若干のプラスが見込まれ、賃金と消費の好循環が生じる可能性は大きいと思われる。

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「CIの変化方向の予測」は2026年7~9月期でも「上昇」が優勢。その後は80~90台の高水準で景気拡張が続く見通し
「2020年5月の景気の転換点(谷)に続く次の転換点(山)はもう過ぎたか」と言う設問への回答に8月調査で変化が見られた。「もう過ぎた。山は2024年5月だった」とする回答が、2024年から1人の状態が続いてきたが、8月調査でゼロとなった。
2026年7月23日の景気動向指数研究会で、景気動向指数の改善に係る検討状況などについて議論が行われた。議論の結果、研究会での結論に従い、①新指数について、2027年4月分の公表以降、今回事務局が提案した改善案(新CI一致指数・新DI 一致指数)に切り替え、参考指標として公表を開始する。
これらに基づく新しい月次の基調判断についても、あわせて参考公表を開始する。②CIおよび新DIに基づく景気基準日付の判定方法については、早ければ、次回の景気の山の暫定設定の際、従来の判定方法による場合と大きな乖離が生じないかを確認した上で採用する。その際、「新CI一致指数などを正式系列へ切り替えることとなった」と発表されたこともあり、まだ山が来ていないと判断したものと思われる。
7月調査から「CIの変化方向の予測」の設問が、これまでの総合景気判断DIに代わって設けられている。8月調査で熊本地震が発生した2026年7~9月期は69.4と、調査期間2026年4~6月期から2028年1~3月期の中で一番低い数字だ。しかし、その内訳は「上昇」が18人と最多で、「横ばい」が14人、「下降」は4人にとどまっている。残りの四半期は80台や90台の高水準で、調査期間中は景気拡張局面が続きそうなことを示唆している。

出所:日本経済研究センター








