豊富な研究資金を確保する海外大学との競争や少子化にともなう財源確保のため、大学にとって資金運用は中長期の財政基盤を支える重要なテーマとなっている。大学基金の運用担当者や有識者の声を通じ、国内大学の資金運用戦略と今後の展望について概観する連載「大学基金の運用戦略」。今回は、2025年10月に大阪大学 資金運用室長 最高投資責任者(CIO)に着任した長谷川英俊氏に、今後の運用方針と展望について聞いた。
運用会社へのアクセスや人材採用を考慮して、東京オフィスを設置

資金運用室長
最高投資責任者(CIO)
長谷川 英俊氏
2025年10月、大阪大学は東京に「資金運用室」を設置した。
大阪大学は、自律的な成長を支える財政基盤を確立するため、資金運用に力を入れている。体制としては、長期運用のフロント業務とミドル業務は東京オフィス、バックオフィス業務や短期・中期の資金運用、資金管理は大阪本部の経理部が担うかたちで、大学全体の資金を管理している。
東京の資金運用室には私がCIO(最高投資責任者)として入り、新たに採用した室長補佐1名、受託銀行からの出向者1名の計3名が常勤メンバーだ。これに加え、大手運用会社出身の2名が非常勤などで、ファンドのドキュメンテーションや計数管理、リスク管理などを担当している。また、将来的な専門人材育成のため、大学職員から公募した1名をJST(科学技術振興機構)に派遣している。
東京に拠点を置いたのは、資産運用会社へのコンタクトのしやすさや専門人材の採用を考慮すると、やはり東京の方が有利だからだ。また、寄付金を集める観点でも、企業や経営者、首都圏在住の卒業生に対するアプローチがしやすいメリットがある。寄付獲得を担うディベロップメントオフィスの一部を東京に配置し、創立100周年を迎える2031年を見据えて、アルムナイ(同窓会)活動の活性化、寄付獲得に向けての関係構築などを進めているところだ。運用と寄付活動の両輪を重視し、基金規模の拡大を図る。
現在の基金規模と、運用状況は。
大学全体で管理する資金は約1,000億円あるが、国からの運営費交付金や補助金などは元本確保が義務付けられておりリスク運用を行うことはできない。そのため、資金運用室が運用対象とするのは、寄付金や特許収入、賃料収入などを原資とする約250億円になる。

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