前回から始まった新シリーズ「担当2年目の『必修科目』」。第2回の今回は、企業型DC(確定拠出型年金)の会計処理について勉強していきます。DB(確定給付型年金)との比較や、昨今増えているDBからDCへの移行に伴う会計処理上の留意点などについて木須さんに伺っていきます。

事業主にとって最大のメリット

いろいろな角度から企業型DCについて見てきましたが、会計処理についてはノータッチでしたね。

木須 DC担当「1年生」には荷が重いと考え、先延ばししてきました。でも、阿部君も「2年生」。そろそろいいでしょう。実は事業主にとってのDCの最大のメリットは、会計処理におけるDBとの違いと言っても過言ではありません。【図表1】でDB・退職一時金との違いをまとめました。

【図表1】 DB・退職一時金とDCの会計上の違い
【図表1】 DB・退職一時金とDCの会計上の違い
注:退職一時金の場合は年金資産がないため、費用は「勤務費用+利息費用+数理計算上の差異」、債務は「退職給付債務+未認識項目」
出所:各種資料より、かもめリサーチ&コンサルティング作成

こうしてみると、DBと比べるとDCはかなりシンプルですね。

木須 そうなのです。DBや退職一時金は、「将来の支払い」を約束しているので、会計上は債務として認識されます。しかも遠い将来の給付であり、様々な要因によって変動します。金利や運用環境などの外部環境によるものだけでなく、会社の制度や退職率、昇給率といった内部要因も関係します。そういった不確実性を反映するため、DBの会計処理は複雑にならざるを得ません。

DBの場合、採用している会計基準によっても処理方法が違うと聞きました。

日本基準・米国基準・国際基準

木須 DBの会計処理方法は日本基準、米国基準(US GAAP)、国際基準(IFRS)の間で違いがあります。

たとえば割引率ですが、日本の会計基準では「安全性の高い債券」の利回りとされており、国債の利回りが利用可能です。一方、国際基準では「優良社債」となっているので、国債金利は利用できません。また数理計算上の差異についても、国内基準と米国基準では遅延認識が可能です。つまり、発生した数理計算上の差異を一定の期間内で償却することが可能なのです。しかしIFRSは原則、即時認識です。さらに国内基準には「重要性基準」というルールがあり、10%以上の変動がない場合は計算基礎率を据え置くことができます。

ちなみに会計基準の違いといえば、リスク分担型企業年金の取り扱いにも注意が必要です。リスク分担型企業年金は、DBとDCの中間的な制度で、企業は事前にリスク対応掛金を拠出し、加入者は財政悪化時に給付が減額される仕組みです。国内基準ではDCと同様に負債は認識されませんが、国際基準では会計監査人が個別に判断することとなっています。その際、追加の掛金拠出義務を負っていると判断されると、債務認識が必要と判断される可能性もあります。
(参照:企業会計基準委員会
https://www.asb-j.jp/jp/practical_solution/y2016/2016-1216.html

キャッシュフローは優劣付け難い

なるほど。資産運用結果や、金利の変動によって発生する数理計算上の差異の処理方法がこれだけ異なると、会計基準によってかなり違いが出てきそうですね。キャッシュフロー、つまり企業にとってのお金の出方という点ではDCとDBどちらが有利ですか?

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