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為替 ドル円は、短期的には上値模索も割高感から次第に鎮静化
割高なドル円とその続伸の条件
地政学リスクへの警戒から107円台まで下落したドル円は、その後、急速に切り返し、8カ月ぶりに110円の大台を回復した。過去1年間のドル円と日米長期金利差の関係に照らせば、本来110円台に達することは難しい。よって、もっぱら米国の株式相場の上昇に象徴されるリスクオンに支えられ、嵩上された動きと見ることができる。このことから、ドル円が110円の大台を維持し続伸するためには、金利差の拡大による横軸上の右への移動や、さらなるリスクオン相場への傾斜(円売り)による縦軸上の上昇が求められる。
米国では史上最高値を更新する主要な株価指数を横目に、長期金利は2%台の手前で低迷している。世界的なインフレの鈍化や金融緩和を受け、金利水準は大幅に低下。こうした中、相対的にみれば高金利と言える米国債への需要は旺盛とみられ、米ドルの金利は上がりにくいだろう。そもそも米国でも、3%台半ばと極めて低い失業率が続く一方で、賃金の伸びは2019年12月、17カ月ぶりに前年比の伸びが3%台を割り込むなどピークアウトしたとも映り、物価の伸びも鈍いままだ。FRB(米連邦準備理事会)の利上げは見込めず、日米金利差の拡大も見通せない。
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