10年にわたり異次元の金融緩和政策を採り続けた黒田東彦氏の後任として、元日銀審議委員の植田和男氏が2023年4月に日本銀行の新総裁に就任した。J-MONEY編集部は、新体制下の金融政策の見通しについて、日銀ウオッチャー7名にアンケートを実施した。本特集では設問項目と回答の一部を紹介する。読者の今後のポートフォリオ戦略の検討材料として役立ててほしい。(アンケート回答時期:2023年3月上旬)

アンケート特集の本文はこちらでお読みいただけます!
▼ご協力いただいた日銀ウオッチャー7名
  • 木内 登英氏
    木内 登英氏
    野村総合研究所
    エグゼクティブ・エコノミスト
  • 浪岡 宏氏
    浪岡 宏氏
    T&Dアセットマネジメント
    チーフ・ストラテジスト
  • 藤代 宏一氏
    藤代 宏一氏
    第一生命経済研究所
    主席エコノミスト
  • 藤田 亜矢子氏
    藤田 亜矢子氏
    JPモルガン証券
    チーフエコノミスト
  • 相羽 勝彦氏
    相羽 勝彦氏
    シティグループ証券
    エコノミスト
  • 森田 京平氏
    森田 京平氏
    野村證券
    チーフエコノミスト
  • 山川 哲史氏
    山川 哲史氏
    バークレイズ証券
    調査部長

これまでの日本銀行の金融政策について

質問1 “黒田時代”の日本銀行の金融政策について10段階で評価するなら

(低評価:1~10:高評価)

木内 登英氏
木内評価3
行き過ぎた円高を修正したというプラス面はあったが、それは一時的な経済効果しか生まなかった。金利低下余地が限られたことで、経済・物価に目立った影響は与えなかった。当初は短期間での達成を標榜していた2%の物価目標を、10年経った今でも達成できていない、という点を捉えれば、異次元緩和は成功でなかったと言える
浪岡 宏氏
浪岡評価6
人々の期待に働きかけて、デフレではない状態に回復させたことは一定程度評価できる。円安が続いたことで、企業業績にプラスに働いた面もあっただろう。ETFの買入れなどでは、日本株のダウンサイドリスクを抑制した面もあっただろう。日本株は潜在成長率の低下や人口動態の面から元来魅力が乏しくなりがちなアセットクラスであったが、一定程度の歯止めをかけた点については評価したい。
ただ、残念だった点では、やはりリフレ派がそれなりに政策に携わっても、賃金と物価の好循環を生じさせることは難しかったように思う。さらに、2022年にコストプッシュ型とはいえども、物価のモーメンタムが上向きつつある中で、緩和に拘り続け、過度な円安を招いたことは、多くの消費者のみならず企業経営者からも批判される形となった
藤代 宏一氏
藤代評価8
政策手段(緩和手段)が少ない中で発足したので、そもそも満点を求めることに無理がある。ただし、政府の財政政策と連携が取れず、結果的に日銀に対する景気刺激の依存度が過度に高まってしまったことは、日銀に一定の責任があるようにも思える
藤田 亜矢子氏
藤田評価4
積極的な緩和を試みた点では評価できたものの、政府の政策との連携がないまま金融緩和をそのまま継続したことは、結果として出口のコストを高め、その後の経済の成長力を押し上げられないまま需要の先取りにつながったとみられるため
相羽 勝彦氏
相羽評価5
総裁就任直後に導入した量的・質的金融緩和は、「デフレではない状態」を作り出す上で重要な役割を果たしたと評価できる。ただ、マイナス金利は追加的な経済効果には乏しく、その後は、YCCを始めとする政策のパッチワーク(=副作用に対するアドホックな対応)が続いた。そうした中、金融市場とのコミュニケーションも生産的なものではなかった
森田 京平氏
森田評価6
円高、株安、デフレマインドの是正は達成されたが、安定的な2%インフレの実現には至らなかった。また、YCCにより一部の市場機能が低下した
山川 哲史氏
山川評価5
就任当初は、「異次元緩和」が過大評価されていた円レートの修正(円安化)を促した経緯もあり、少なくともデフレ「スパイラル」の状況からは脱することが出来た。その後、金融緩和への依存度が強まり、構造改革が遅滞した結果自然利子率が低下、金融緩和の効果が弱まったのは、必ずしも金融政策が理由ではない。ただしYCCは、市場機能を自ら破壊した点で評価できない

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