相次いだ新型コロナウイルス感染症の再拡大、ロシアのウクライナ侵攻やインフレ高進、歴史的なドル高などに揺れた2022 年。2008年の世界金融危機後から続いた超金融緩和時代は終焉を迎え、ボラティリティの高まりや株価の調整などが懸念される2023 年のマーケットの行方と、不安定な金融環境下における安定運用のポイントを探る。
景気減速を犠牲に物価は安定を取り戻し
ドル円レートも円安修正に進む見込み
2022年、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中、2月のロシアによるウクライナ侵攻で2つ危機が重なった。コロナ禍を起因とした世界的なサプライチェーンの混乱が続き物価が上昇していたが、そこにウクライナ危機を契機としたエネルギー・食料関連価格の高騰が上乗せされ、過去40年見られなかった歴史的な物価高に直面した1年だった。
物価の安定回復を図るためFRB(米連邦準備理事会)が急速に金融引き締めを進めた結果、他国も自国の通貨安を回避するために米国の利上げに追随し、物価上昇圧力を押し付け合う競争が見られた。
2023年以降は高インフレで金利水準が切り上がる状況が常態化していくかどうかの判断が、大きな分かれ目になる。野村総合研究所 金融ITイノベーション事業本部 エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は、「景気減速という犠牲を払いながら物価の安定を取り戻していく流れになれば、足元の物価高は定着せず、金利水準も下がっていく」と語る。
ではどのタイミングで金利が下がるのだろうか。2022年12月中旬時点でFRBがターゲットとするPCE(個人消費支出)コア・インフレ率は5.0%と政策金利4.5%よりも高く、実質金利はマイナスと緩和状態にある(図表1)。
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