テック市場を中心に、近年になってインド初のスタートアップ企業の活躍が目立つようになった。人口増加を追い風に一層の経済成長が見込まれるインドには、世界中の投資家が注目を始めているという。インド株投資などに強みを持つ運用会社ライトハウス・カントンの専門家が、スタートアップ投資を軸に同国の投資魅力について紹介する連載「魅惑のスタートアップ市場 インドを語る」。第1回では、インドにおいて行政がスタートアップ企業を生み出しながら発展する構図、いわゆる「スタートアップ・エコシステム」が形成されている様子や、それに伴う投資機会について解説する。

国を挙げて加速するスタートアップ支援

サンキット・シンハ氏とアンキット・アグラワル氏
ライトハウス・カントン
アセットマネジメント事業ヘッド
サンキット・シンハ(左)
VDマネジャー
アンキット・アグラワル(右)

シリコンバレー“一極集中”であった世界のベンチャーキャピタル(VC)の動きに変化が見られるようになったのはこの数年のこと。欧米以外で、インドや東南アジアでのVCによる投資が顕著になってきたのだ。そしてついに2021年には、インドがユニコーン企業数で米国、中国に継ぐ世界3位となり、2022年にはその数が100企業に到達した。

インドでスタートアップ企業がこれほどのスピードで生み出される背景には、主に3つのドライバーがあるとみている。

まず1つ目は、著しい人口動態の推移(=人口増加)だ。そのため製品やサービスに対する需要の増加が顕著であり、新しいビジネスモデルが多く生み出される土壌がある。

そして2つ目には、インド政府の積極的な支援が挙げられる。2015 年8月の独立記念日にインド発のベンチャー企業育成構想を発表し、2016年1月には構想を具体化した「スタートアップ・インディア」を開始した。

同プログラムは、主には基金設立に加え、スタートアップ企業に向けた法人所得税の免除や特許審査の迅速化などが含まれている。スタートアップ・エコシステムの成長に合わせて、同プログラムへの資金投入も増加している。

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