腕利きコンサルに「新米」常務が聞く! 年金資産運用・基礎の基礎 【債券編】ラインアップとまとめ
企業年金の資産運用の「基礎の基礎」を、ラッセル・インベストメントでエグゼクティブコンサルタントを務める金武伸治さんに解説していただく連載。2022年4月からスタートした【債券編】は本編の全5回に続き、番外編となる「マーケット温故知新」を2022年7月8日に配信しました。
区切りとなるこのタイミングで、改めて債券編のラインアップを振り返るとともに、各回の内容をごく簡単にまとめました。改めてお読みいただく際の参考にしていただければ幸いです。
また、2022年7月29日からは新たに【株式編】が始まります。こちらも引き続き、よろしくお願いいたします。
【第1回】そもそも金利上昇でなぜ債券価格が下落?
▼全文はコチラ! (2022年4月19日配信)
そもそも金利上昇でなぜ債券価格が下落?~債券投資にとって金利上昇はプラス?マイナス?
- 金利上昇時の価格下落幅は、おおむね「金利上昇幅×残存年数」
- 債券の利回りは、目に見える「金利」に加え「ロールダウン」も
- 残存年数が短くなるだけで利回りは自動的に低下。同時に債券価格は上昇。これが「ロールダウン効果」
【第2回】それでも債券投資を続ける理由とは?
▼全文はコチラ! (2022年5月11日配信)
それでも債券投資を続ける理由とは?〜分散効果や金利上昇への備え
- 債券の収益源泉は、利回りと価格の2つ。価格が下落しても、プラスの利回り収益が価格のマイナス部分を一定程度カバー。これが「利回りクッション」
- 利回り(キャリー)とロールダウンを合わせた「キャリーロールダウン」が高い年限の債券は、相対的に金利上昇に備えていることになる
- 債券投資の主な目的は利回りの享受と、株式との分散効果。リスク低減の観点からも、株式と逆相関関係とされる債券投資は重要
【第3回】なぜ米国債に多く投資?
▼全文はコチラ! (2022年5月23日配信)
なぜ米国債に多く投資?〜多様性大きく収益増やリスク分散に寄与
- 米国債および米ドル建て債は、国債をはじめ社債、資産担保債、エマージング(新興国)国債など種別が多彩。分散が効き、利回り向上効果が期待できる
- 米国は相対的に金利水準が高く、株価が下落した時の金利低下余地が十分にある。それだけ株式とのリスク分散効果があるということ
- 外国債券のリスクのほとんどが為替リスク。債券同士の分散効果を高めるために、為替ヘッジを行うことが一般的
【第4回】債券は多種多様
▼全文はコチラ! (2022年6月6日配信)
債券は多種多様~金利と信用、2つのリスク分散が肝心
- グローバル債券市場で発行額や流通額が最も大きいのが国債。信用力が高く、株価下落局面では株から資金が流入することが多い。社債は、債務不履行リスクがあるがその分、国債と比べて利回りが高い
- 債券は全般として主に利回り収益(インカム)を狙う。もっぱら価格収益を狙う株式と大きく異なる。債券は国債、投資適格社債、証券化商品、ハイイールド(高利回り)債、エマージング国債・社債など多種多様
- 社債やエマージング国債、証券化商品など信用リスクを持つのが広義の「クレジット債」。この中でも分散投資することで、リターン源泉の拡張やリスクの分散が期待できる
【第5回】複雑怪奇な金利の年限
▼全文はコチラ! (2022年6月30日配信)
複雑怪奇な金利の年限〜市場参加者や決定要因で債券価格に違い
- 金利の年限は短期(2年程度以下)、中期(2年~7年程度)、長期(7年~10年程度)、超長期(10年程度超)に大別できる
- 短中期は銀行、中長期はヘッジファンドや資産運用会社、超長期は生命保険会社などと、金利の年限ごとに市場参加者や、影響を受けやすい経済要素が異なる。各年限の金利が短期的に違った動きをすることにつながる
- 各国の中央銀行が行う利上げ・利下げは短期実質金利が対象。これが中期や長期、超長期の金利にも影響を与える。金利は期間が長ければ長いほど、複雑な要素で決定される
【番外編】マーケット温故知新・日本国債は本当に安全資産?
▼全文はコチラ! (2022年7月8日配信)
債券編番外(マーケット温故知新)日本国債は本当に安定資産?〜過去20年余りで2度の暴落
- 日米の金利差が拡大して為替のヘッジコストが増大。国内債券が魅力的に映る要素も。ただ、国内債券は金利低下余地が乏しいので、価格上昇の余地も少ない
- 1990年代後半以降、国内では大幅な金利上昇ショックが2回発生。人為的な低金利水準であったことや、金融政策や国の財政状態への不安心理など現在に通じる点がある
- 日本国債は、満期に元本がきちんと償還される点で「安全資産」。だが、小さくない価格変動を経験したことから「安定資産」とは言い難い過去も
■次回からの株式編は、7月29日に第1回「企業年金運用にとって株式とは」をお届けする予定です。
■質問や要望をJ-MONEY編集部(inquiry@j-money.jp)までお寄せください。今後の連載に生かしていきたい考えです。
【構成・執筆】阿部圭介
J-MONEY論説委員
1980年、朝日新聞社に入社。経済部記者として金融、証券、情報通信などを取材。大阪本社編集局長などを経て2022年3月まで朝日新聞企業年金基金常務理事
「年金資産運用・基礎の基礎」シリーズ一覧
<第0回>資産運用これだけは押さえて
▼「債券編」のバックナンバーはこちら
<債券編第1回記事>そもそも金利上昇でなぜ債券価格が下落?
<債券編第2回記事>それでも債券投資を続ける理由とは?
<債券編第3回記事>なぜ米国債に多く投資?
<債券編第4回記事>債券は多種多様
<債券編第5回記事>複雑怪奇な金利の年限
<債券編番外編>日本国債は本当に安定資産?