腕利きコンサルに「新米」常務が聞く! 年金資産運用・基礎の基礎【第0回】 資産運用これだけは押さえて〜『自分が欲しかったテキスト』目指す
J-MONEY論説委員の阿部圭介です。2022年3月末まで朝日新聞企業年金基金の常務理事を務めていました。
今回、企業年金の常務理事や運用執行理事など、年金資産運用の責任者や担当者に就任したばかりの方々を主な読者に想定した新企画に携わることになりました。私自身が常務理事だったころ「こんなテキストがあればなあ」と、日々感じていた年金資産運用の「基礎の基礎」を解説する内容です。
タイトルが示すように、仕立ては少々変わっています。私が常務理事に就任したばかりという設定で、年金資産運用に詳しいコンサルタントに一から十まで質問していきます。お相手いただくのは、ラッセル・インベストメント コンサルティング部エグゼクティブコンサルタントの金武伸治さん。資産運用を担当する上で「これだけは押さえてほしい」というポイントを説明していただきます。学校法人や金融法人などで運用担当をしている方にも参考になるかと思います。
今回はイントロダクションです。「本番」とは逆に、金武さんから私に対して質問してもらいます。年金資産運用の担当という役割を振り返りつつ、連載の狙いなどをご説明したいと思います。
運用の素人が責任者に。相談相手も周囲におらず
阿部さん。企業年金の運用責任者の役割をどう考えていますか?
阿部 所属していた企業年金が終身年金だったこともありますが、何よりも受託者責任のもとで、長期にわたって安定的に年金を支給できることが目標でした。具体的には、総幹事の信託銀行や契約コンサルタントと相談して予定利率や期待運用収益率を決めるのですが、これをクリアできるポートフォリオの構築と継続的な改良ということですね。
その役割を果たす上での課題、あるいは難しかった点は?
阿部 長期安定ということですから、本来は単年度収益の上下に一喜一憂すべきではないはずです。しかし実際には、年度末の運用資産の残高や収益率が大きな意味を持ってきます。継続基準や非継続基準といった国の基準に照らしてどうか。母体の連結決算にも年度末の数字が反映します。運用責任者としては大いに気になるところです。リスクをどう抑え、一方でリターンをどこまで追求するのか。扱っている金額が大きく、受給者も何千人といるわけで、責任は重大だと日々感じていました。
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