• ドルは米国長期金利とのデカップリングを開始
  • 背景には強まるFedによるオーバーキルへの懸念
  • 国内インフレを主導したのは耐久財消費の急増
  • 米国の消費リセッションと物価下落リスクが増大
  • 貿易収支の改善からドルは早晩上昇トレンドに回帰

ドルは米国長期金利とのデカップリングを開始

梅本徹
J-MONEY論説委員
梅本 徹

2022年2月10日に発表された米国1月のCPI(消費者物価)上昇率が前年比7.5%と1982年2月以来の高水準となり、10年物米国債利回りは2019年8月以来の2%台を付けた。一方、同日の東京市場では、日銀が週明け14日に長期金利抑制のために臨時の国債買い入れを実施すると発表している(応札実績なし)。それにもかかわらず、ドル円相場の上昇は116円台止まりと一時的で、依然年初来の調整相場が継続している。

背景には強まるFedによるオーバーキルへの懸念

その主因は、Fed(米連邦準備制度)によるオーバーキルへの懸念が金融市場に広がっていることであろう。市場参加者は、2022年1月26日に開かれたFOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見におけるパウエル議長の発言を、Gradual(漸進)からNimble(迅速)への変化と捉え、本年の利上げが四半期ごとより頻繁に、1回0.25%を超えて実施されるとの観測が出始めた。景気減速懸念から、S&P500は1月中に約10%の下落したうえ、2月11日までの反発も1月中の下落幅の2割弱にとどまっている。

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